700:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga !orz_res]
2011/05/19(木) 00:10:13.28 ID:94ORHbbso
「っ――――」
遠くで何か音が聞こえた。
ずずん……と振動を伴う低い音。
きっとそれが起こった地点では物凄い轟音だったのだろう。
……見なくても分かる。
でも私は目を開ける。
そこにはアイツがいる。
唇に感じた温もりがそこにいる。
だけどその目は私を見ていない。
その眼光は鋭く、音の聞こえてきた方を射していた。
どうしてだろう。
すぐそばにいるはずなのになぜだかとても遠くに感じる。
まるでそこにいるのは幽霊のようで。
指の間からこぼれてしまいそうだったから。
「――――当麻」
繋いだ手を握り締めた。
行かないでなんて事は言わない。
止めたところで無駄なのは分かってる。
アイツは誰が止めたところで聞きはしない。
誰よりも不幸の意味を知っているからこそ誰かが不幸になる事が許せない。
でもね、その気持ちは私にも分かるんだ。
だから。
「――――置いていかないで」
そこに込められた意味は正しく通じた。
私たちは小さく頷き――そして走り出した。
二人で。
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