8:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/05(水) 21:53:28.01 ID:fTbLwVYo
「………………は?」
確かにアイツは私を見て、目が合った。
なのにアイツは、そのまま視線を別の方に向けてしまった。
顔色一つ変えず、まるで私を無視するように――。
あれ。なんか前にも同じような事があったような。まあいいや。
私は若干俯き気味になりながら歩みを進める。
右手に持ったバッグを軽く振りながら、近付いていく。
まだ気付かないのかアイツは私と正反対の方を向いている。
私は自分が今どんな顔をしているのか分からなかったけれど、周囲の雑踏がなんとなく距離を取っているようにも思える。
さり気なく鼻歌なんか歌っちゃったりして、でもアイツは気付きやしなかった。
えーっと……これはもう、ぶち殺し確定ね。
「――せーのっ」
助走を付けて、足取りも軽やかに、振り返った間抜け面に向けて全力でダイブする。
「無視すんなやこらーっ!!」
衆目の前だという事も忘れて、私は全力でアイツの腰に華麗に乙女タックルを決めた。
ちなみにこの時、私はいつもと違う慣れない私服姿で。
つまりお馴染みのスカートの下でガードしてる短パンがないのをすっかり忘れていた。……うん。考えない事にしよう。
なんか頭の上で蛙の潰れるような声が聞こえた気がしたけど気にしない。
がっちりと脇をホールドして……って、あれ?
「こ……のぉっ!」
ちくしょう、堪えられた。二度目は通じないか。バカのくせに学習しやがって。
べりべりと私を引っぺがしてアイツは、私の両肩をしっかりと掴んだままなんかものすごーく嫌そうな顔をこっちに向けてきた。
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