89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/19(水) 18:35:09.18 ID:Z9/RKEgRo
「どう?」
「……甘い」
「アンタそれ以外に言えないの?」
少し呆れてしまって、でもそれがどうにも可愛く思えてしまう。
私はアイツが口を付けたところに努めて意識しないようにしながら噛み付く。なるほど、確かに甘かった。
なあ、と呼ばれてアイツの方を見る。
私の口はクレープを咥えたままだ。慌てて咀嚼して飲み込んだ。
「もぐ……なに?」
尋ねるとアイツは何だか困ったような躊躇するような顔で少し視線をさまよわせた後、目を逸らしたまま右手のそれを差し出してきた。
「あー、その……食べるか?」
一瞬動きが止まりそうになった。
なるほど、確かにこれは……うん。
驚愕と困惑と、それから期待と少しの役得。そんなものが頭の中をぐるぐると回る。
そして結局、私は小さく頷いてアイツの持つクレープを小さくかじった。
「どうだ?」
「……甘い」
そうは言うのだけど、実際のところ私には味なんてろくに分かっちゃいなかった。
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