827: ◆LKuWwCMpeE
2011/02/09(水) 00:53:14.92 ID:kI7EFVyDO
その声が上条の脳に染み渡る。
しかし上条は理解が出来なかった。
「え……………………?」
何故。
何故彼女が、今ここにいる?
一方通行に、殺されたのではなかったのか?
──夢、か?
幻、か…………?
自分の五感を疑う。
この感触、この声、この匂い────。
確かに、自分の知る感覚だ。
「当麻…………!もう、何処にも、行かない、で…………!」
自身の顔は彼女の胸に押し付けられている為、目を開けても何も見えない。
しかし、確かにその声は。
「み、こと………………?」
「当麻…………当麻ぁ…………!」
自分を呼ぶその声と共に、首に回された腕の力がギュッと強くなった。
感情が昂ったのか、涙混じりの声色になっていた。
自身の手を動かし、自分もまた抱こうと考える。
しかし身体の痛みや、信じられないという気持ちで手がどうしても震えてしまっている。
この手が、空を切ってしまわないかと。
この自身を包む温かい感触が、無くなってしまうんじゃないかと。
自身はこんなに臆病な人間だったのだろうか。
しかしそれほどまでに、信じられない、信じたい、抱きたい────
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