過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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11: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/01/12(水) 23:00:01.21 ID:KZdJ5BByo
第二話
季節は夏。期末テストを間近に控えた、とある七月の土曜日。
その日の俺は我が家で唯一クーラーのない部屋(つまり俺の部屋のことだ)に朝から引きこもり、必死の――――というより苦悶に近い形相で机に向かっていた。
「く……ぐぬ……」
高校2年生らしく、テスト勉強のため……というわけではもちろんなく。
「ぐぬ……ぬ……」
新作ガンプラ、HGFCノーベルガンダムを組み立てているのだ。
「……くっ!」
パチン!パチン!…………ガリガリ………………パチッ。
パーツを切り出した後、丹念に切断箇所の処理をしてから組み立てる俺。
机の上では頭部以外が完成したガンプラが、残された頭部の完成を今か今かと待っている。
「よし!」
ロボットにあるまじき長い髪の毛のようなパーツを取り付け、ついに頭部が完成した。
「あとは、これをくっつけて――」
先ほどの頭部と胴体とを組み合わせ、ようやく一つのガンプラが完成した。
妙な達成感に支配され、思わずガンプラに見とれてしまう。
それにしても……なんでこんな女の子みたいなデザインなの?
「はっ」
はたと、正気に立ち返る。催眠術から解き放たれたかのような気分で頭を抱える。
――お、俺はいったい、何をやっとるんだ……。
休日の朝っぱらから、部屋に閉じこもってガンプラ製作に没頭している17歳。
それが俺・高坂京介の現在の姿であった。
いやいや、違うんだって。これにはふかーいわけが……と言い訳しようかとも思ったが、これくらいは普通なんじゃなかろうか。
妹もののエロゲやってるんじゃあるまいし。
だが、俺がプラモをつくるようになるまでに、他人とは違う、ちょっとした事情があったのは確かだ。
なぜか俺は、あれからも、何度か妹に呼び止められ『人生相談』という名目で無理難題を押しつけられるという日々を送っていた。
つい先日も、この『HGFCノーベルガンダム』を手渡され、『まずは速攻で仮組みを終わらせて下さい。絶対ですよ?』みたいなことを言われたのだ。意味がわからない。
それで諾々と従っちまう俺も、情けないっちゃ情けないんだが……。
「ふぅ……やっと完成したな。休憩すっか」
渇いた喉を潤すべくリビングに降りると、件の妹が電話をしているところだった。
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