過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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209: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/02/02(水) 19:59:29.43 ID:DsGORQ7xo
「じゃあまたね!」
「はいでござる! また会いましょうぞ!」

玄関まで見送ると、桐乃は勢いよく走りだす。陸上やってるだけあって、桐乃の姿はあっという間に小さくなっていく。

「おまえは焦んなくて大丈夫なのか?」

俺は立ち止まって桐乃の後ろ姿を見つめていた黒猫に声をかけた。

「大丈夫よ。あの子ほど遠くないから」
「そっか」

桐乃の姿が見えなくなるのを確認すると、黒猫はくるりとこちらに向き直った。

「どうした? 忘れもんか?」

しかし、黒猫からの返事はなく、押し黙ったまま俺を睨みつけている。
う……やっぱり、まだ怒ってんのかなこいつ。
しかし、時折視線をそらしたりする仕草が、単に怒っているだけではないことを窺わせた。
さて、どうしたもんかな。と、思案していると、黒猫が沙織には聞こえないような大きさで俺に囁いた。

「………………優柔不断なのも結構だけど、いつまでも気づかないふりをしていると取り返しのつかないことになるわよ。まあ……あなたのことだから、ふりではないのかもしれないけれど」
「えっ?」

俺の返事を聞くこともなく、黒猫はさっと踵を返し歩き出した。

「お兄様? どうされました?」
「あ、いや……なんでもない」

なんだ? 俺が何に気付いてないってんだ?
黒猫の言うことは、いつだって回りくどく分かりにくいが、今回はとりわけ意味不明だった。

「何が言いたかったんだ? あいつ。……ま、いいか」

この時の俺は、いつものように電波を受信しちゃっただけかもな……なんて思っていたんだ。
あいつが意味もなくそんなこと言うはずないって、ちょっと考えればわかりそうなもんなのにな。


第七話おわり



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