過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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254: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/02/08(火) 22:00:21.52 ID:mmUQ6MLKo
「お兄さんのアドレス……教えてもらえますか?」
あやせが鞄から取り出したのは携帯だった。
ふぅ、と一息。あらかじめ少し浮かしておいた腰をそのまま持ち上げ、机から自分の携帯を回収する。
「…………これでよし」
「はい、こっちもおっけーです」
そう言ってにこりと微笑むあやせ。男なら思わず見惚れてしまうほどのかわいさだ。
「じゃあ、今日はこれでお暇しますね。急にお邪魔してすみませんでした」
「気にすんな。どのみち暇だったんだ」
ふぅ、どうやら沙織の帰宅までには間に合ったようだな。
あやせを玄関までエスコートし、そのまま手を振って見送った。
「冷静に考えると、あやせっていい子なんだよな」
かわいくて、友達思いで……
あとは、桐乃のことが心配なあまり発露してしまった一種の異常性さえ除けばまさに完璧と言えた。
そしてその異常性は、俺が桐乃に害がないとわかれば俺に向けられることはないだろう。
あんなかわいい子と繋がりを持てる機会などそうそう訪れまい。
「まあ、そうそう上手くいくとも思えないけどな」
言葉とは裏腹に、体は正直なもので顔がにやつくのを抑えられない。
だが、玄関扉を開け自宅に入った瞬間、甘い妄想は一瞬にして消え去った。
「……沙織の…………靴がある」
ただいまの声は聞こえなかったし、階段を上る足音も聞こえなかった。
いつだ? いつ帰ってきた?
まるで間男のような自問自答。
きっと俺はこれから怒られる。沙織が帰ってきたタイミングによっては俺の「お兄さんになって下さい」という莫迦な妄言まで聞かれている可能性がある。
ごくり。思わず喉を鳴らしつばを飲み込む。
「腹をくくるしかないか」
浮かれてしまって、一瞬忘れていたぜ。我が家にも怒らせると怖い妹がいるってことをな。
「…………は、判決は?」
「ギルティ――有罪です」
沙織はそう言い放ち、にこりと微笑んだのだった。
第八話おわり
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