過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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326: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/02/20(日) 21:17:50.09 ID:FGAkotZNo
第十一話

「ああ……すまない。ちょっと色々あってな、アドバイスは貰えなかったよ」
『そうですか。分かりました』
「……えらくあっさりだな」

あやせの淡泊な返事に、肩すかしをくらったような気分になる。
もしかして、はなから期待してなかったってことだろうか?

『お兄さんに相談した日に、私の中で答えが出ましたから。妹さんの話は参考にこそすれ、絶対に聞きたいというわけではなかったので』
「えっ? そうなの?」
『はい。今電話したのも、お兄さんから一向に電話がかかってこないので、少し気になっただけです』

なんてこった。それならそうと言っといてくれよ。うちの妹は泣き損じゃないですか。
なんてことを思ってしまうのは、俺がもう取り返しのつかないくらいのシスコンだからなんだろうな。
もちろん口には出さないが。

『ところで、お兄さん。一つ伺いたいことがあるんですけど』
「なんだ? 言ってみ」
『なんでさっきから、声が震えてるんです?』

それは、私が凍えているからです。
当たり前のことだが、冬の廊下は寒い。
吐く息は白く、暖かさを持たないフローリングの床は容赦なく俺から体温を奪っていく。目は半分涙目で、足の痺れもそろそろ限界だ。
俺はかれこれ30分ほど廊下で正座していた。それが俺に与えられた量刑である。

「気のせいだ」
『まあ……別にいですけど』

妹に説教くらった挙句、廊下に正座させられているなんて言えるわけがねえ。



あの後――俺の相談のせいで泣き出してしまった沙織がようやく平静を取り戻した後のことだ。

「ごめんなさい、お兄様。……取り乱してしまって」
「気にすんなって。俺が悪かった」
「お、お兄様は悪くありませんっ! だから謝らないで下さい!」
「え……で、でもさ」

沙織の剣幕に押され、うまく言葉が出てこない。
なんでこいつはそんなところでムキになってるんだ? どう見たって悪いのは俺だと思うんだけど。
それとも、この思考そのものが逃れようのないシスコンの宿命だとでも言うのだろうか。

「謝らないで……下さい……」

そう言う沙織の顔は、今にも再び泣き出してしまいそうだった。
しかし、沙織はぶるぶると頭を振って必死に気を取り直そうとする。
それにしても……なんでこいつはそんなに謝られることを嫌うんだ?
まあ、思い返せば今までそんな節が全くなかったわけじゃない気もするが、今日のはちょっと度が過ぎている。

「今日だって……お兄様は悪くないのに……泣いてしまって……」

そう言って、沙織はぎゅっと手に力を込める。



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