過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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393: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/02(水) 05:41:38.99 ID:rZgOZofOo
「……すまん」

他にどうすることもできず、ただ謝るしかなかった。俺は確かに沙織しか見えていなかったのだから。
妹のことが心配なあまり、友人の受験の合否は全く無視。気にもかけていない。
あまつさえ、その友人に沙織の受験から派生した問題のことで相談を持ちかける。
我ながら、これはあんまりだ。

「ふん。……別にいいわ。相手が沙織では、私では勝負にならないのはわかっているから。あの女ならまだしもね……こちらももう手遅れかもしれないけれど」
「えっ?」

脈絡のない言葉に、脳がついていかない。
勝負? あの女? 沙織となんか勝負でもしてんのか?
なんでいつも含みのある言い方っつうか、遠回しな言い方をするんだこいつは。言いたいことの半分もわからない。
だが、なにはともあれ黒猫は俺を許してくれるらしい。

「で、沙織が怒らなくて? ブラコンじゃなくなってしまったのではないか、嫌われたのではないかと心配だと?」
「お、おう。そういうことだ」

嫌われたってのは少し飛躍しすぎだと思うが、大まかなところは外れていないから問題はない。
すると、黒猫は再び眉間にしわを寄せ、露骨に怪訝そうな顔をする。
あ、あれ? 許してくれたんじゃなかったの?

「あなた、この間は沙織のブラコンをなんとかしたいと相談してきていなかった?」

………………そうだった。完全に忘れていた。
そもそも俺は、沙織のブラコンをなんとかしなくては――そう思っていたはずだった。
なんでいつのまにか逆の立場になってるんだ?

「シスコンなのもいいけれど、大概にしておきなさいな。沙織はもう自分の考えを持って生きているし、あなたにいつまでも頼っているような子ではないの。あなたこそ早く妹離れしたらどうかしら」

黒猫の怒りをはらんだ強い言葉に、思わず気圧されてしまう。

「でないと……沙織も、あの女も可哀想だわ。そして私は惨めなだけ」

そのまま踵を返し、帰ろうとする黒猫。

「ま、まっ……」

結局、待ってくれという俺の心の声は言葉にはならず、黒猫の後ろ姿をただ見つめることしかできなかった。



第十四話おわり



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