過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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481: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/15(火) 17:16:22.81 ID:Lj3urlD7o
第十五話(黒猫√)

「皆の物、グラスは持ちましたかな? それでは――かんぱーい!」
「「かんぱーい」」

各々がそれぞれの飲み物を口に運ぶ。使うのはグラスではなくて紙コップだけどな。
ここは秋葉原のレンタルルーム。無事受験を終え、高校に合格した沙織と黒猫のために簡単なお祝いパーティーを開いたというわけだ。
会の進行を務め、乾杯の音頭をとるのは案の定沙織。この4人で集まる時は、もはやそれが習慣となってしまっていた。
こんなときくらい俺が音頭とるべきだったかな。机を挟んで向かい側で黒猫と受験の苦労話を交わす沙織を見つめ、今さらではあるがそんなことを思う。

「ま、ここから頑張ればいいか」

頑張る、といっても何か考えがあるわけじゃない。俺が考えついたのは、このパーティーを開くことと、お祝いの品を渡すというごくありふれたものものだけだったからな。
更に言うなら、プレゼントに関しては俺だけの発案ではない。
実は、今日このパーティーを開くにあたって事前に桐乃と相談したところ、お互いに何かプレゼントをもちよって祝ってやろうということになったんだ。

「ねえねえ」

声をかけられると同時に服の裾をひっぱられ、そちらに向き直る。
声の主は桐乃だった。

「プレゼントいつ渡すの?」

沙織たちに聞こえないようにするためか、小さな声で耳打ちをしてくる。

「そうだな……べたに最後でいいだろ。別に急ぐ必要もないし」
「そっか、そうだよね」
「おふたりとも、いかがなされました?」

ひそひそ話をする俺たちを訝しんだのか、沙織が声をかけてきた。

「な、なんでもないぞ!」
「そ、そうだって! なんも企んでないってば!」

大慌てで返事する俺と桐乃。桐乃なんかは両手をぶんぶん振って否定しているくせに、その口はもはや半分げろってしまっている。
……サプライズがこんなにも難しいものとは思わなかったぜ。俺と桐乃に詐欺師の才能はねえな。

「ふふっ、左様でござるか」

沙織は口をωこんなふうにしてにやにやとこちらを見つめている。その目は例のぐるぐる眼鏡で見えないが、沙織が何を考えているかはわかる。
そう、あいつは全てわかった上で俺たちを泳がせているんだ。
ともあれ、今の所沙織と黒猫の反応は悪くない。素直にこのパーティーを楽しんでくれているようだ。



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