過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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507: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/19(土) 21:20:32.73 ID:BTEDHaXWo
第十三話(沙織√)
季節が巡るのは早いもので、外に出てみれば今はもう桜が舞っている。
それなりにのほほんできた春休みも明け、今日は始業式。今まで幾度も迎えた新学期の朝である。
めんどくせえなあという憂鬱な気分と、何かが起こるんじゃないかというわくわくを胸に階段を下りる。
そのままリビングへと続く扉を開き――そして、俺は言葉を失った。
「お兄様?」
「はっ!?」
沙織に呼び掛けられ、ようやく我に返る。
「大丈夫ですか?」
「あんた……始業式の朝から寝ぼけてる場合じゃないでしょ」
「たるんどるんじゃないのか?」
素直に心配してくれる沙織とは違い、辛辣――ってほどでもないが、厳しい言葉をくださる両親。
いやいや、親父にお袋もなんでそんなに落ち着いてられるんだ。
これはもしかして一大事なんじゃないのか? いったい何がどうしてこうなった?
「なんで……」
「?」
ようやく絞り出した声はかすれ、うまく言葉にならない。聞き取れなかった沙織が疑問の表情でこちらを見ている。
俺は、一呼吸おいて、すうと大きく息を吸い込んでからこう叫んだ。
「なんでおまえがその制服を着ているんだああああああああああ!」
沙織が着ているのは、我が高校の制服そのものであった。
どういうこと!? 沙織はお嬢様学校の高校へエスカレーター式に進学するんじゃなかったの!?
まさか、問題起こして放り出されたの!? いやいや、沙織に限ってそんなことあるわけないだろ!
じゃあ、これはどういうことだ!? 何がどうしてこうなった!?
もはや俺の思考は滅茶苦茶だ。まとまる気配すらない。
「落ち着いて下さいお兄様」
沙織はまるで子供をあやすように優しい口調で語りかる。
「私がお父様とお母様に頼んだんです」
「……はい?」
どういうこと? まさか、沙織が自分から俺のいる高校へ行きたいと言い出したってこと?
「その通りですわ」
「いやいや、何でわざわざそんなことを」
沙織がブラコンなのは知ってたが、それで自分の進路を決めちまうほど愚かではないと思っている。
だから、何かやむにやまれぬ、特別な事情があったんだと思う。ではその事情っていったいなんだ?
「……何があったんだ?」
「それは登校の途中でお話します。今は朝ごはんを食べましょう? このままでは遅刻してしまいますから」
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