過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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509: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/19(土) 21:26:02.53 ID:BTEDHaXWo
途端に、さっきまで感じていたもやもやが急速に膨らんでいく。
この瞬間、はっきりと理解した。今までは沙織が通っているのが女子校だったもんだから、こんな気持ちを感じることはなかったんだな。
そう、これはいわゆる親心というやつだ。……おまえは兄貴だろという突っ込みはなしだぞ。
そこら辺の男が沙織に言い寄ってくるかもしれない。どこぞの馬の骨ともわからんやつが沙織をかっさらっていってしまう可能性がある。
そんなことを考えただけで、俺の心はかき乱され一向に落ち着かない。
沙織が彼氏なんて連れてきた日にゃ、俺はまだ見ぬそいつをきっとぶっ飛ばすだろう。
別にそいつが憎いわけじゃない。ただ、それぐらいやらんと気が済まないのだ。

先ほどの声のを発した男たちをじろりと睨み付け「手を出したらぶっ殺す」と、視線で威嚇。これは最上級生だからできる芸当だ。
……これから毎日こんな思いをして過ごさねばならないのか。とてもじゃないが身が持たねえ。
世間のシスコン様はこういうとき一体どうするんだ? いったいどうやって心を落ち着けるのだろうか。
あーあ、誰か近場にシスコンの兄貴がいねえもんかな。そうそういるもんじゃないってのはわかってるけどさ。

しばらく歩くと、いつもの場所で俺を待っている麻奈実が視界に入った。
ぱたぱたと鞄をせわしなく動かしている。

「あ、きょうちゃん、おは――」

いつもの間延びした挨拶をしようとしたところで、そのまま固まる麻奈実。
その目ははっきりと見開かれ俺の隣に立つ美少女を見据えている。

「よう、おはよう」
「おはようございます、麻奈実さん」
「えっ? あ、おお、おはようございます」

慌てて挨拶し返す麻奈実。なに慌ててんだ? おまえら初対面じゃねえだろ。
しかし、慌てていても麻奈実の綺麗なお辞儀の形は崩れない。

「きょうちゃん。え、え〜と、どちら様?」
「何言ってんだ、沙織だよ。妹の沙織」
「よろしくお願いいたします」
「ほ、ほんとに沙織ちゃん? あ、あれ〜、この前はこんな風じゃなかったよね?」

……忘れていた。前に会った時はたしかバジーナ状態の沙織だったな。
その前に会った時はまだ小さかったし、まさか沙織がこんな美少女に成長するとは思ってもいなかっただろう。

「あ〜なんだ。深くは詮索しないでやってくれ」
「う、うん。わかった。じゃあ、改めてよろしくね沙織ちゃん」
「はい。麻奈実さん」

そこからは3人で、他愛ない会話を交えながら、のんびりといつもの登校路を歩いていく。
某アニメには登校路がきつい坂道なのを愚痴っている高校生が登場するが、その点俺たちの学校は平地にあるからな。
そこに関しては千葉県gjと言わざるを得ない。
夏場とか大変だろ、あれ。しかも兵庫県下、特に北摂地域の高校は、そのほぼ全てが山の上に作られているらしい。
どうして兵庫県はあんなところに学校作っちゃうんだろうな。やめてやれよ。
と、実にどうでもいいことに考えを巡らせていると、少し先の道路を黒猫が横切った。
朝からなんて不吉な――という方の黒猫ではない。ましてや宅急便でもない。



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