301:とある複製の妹達支援[saga]
2011/01/31(月) 21:09:49.75 ID:G8R+kwKzo
研究所の外周に作られた秘密通路から、地下へと潜る。
ここも本来のクローンプラント同様、『生』のDNA情報がないとセキュリティを解除できない。
なので、協力者の研究員がプラントに入ろうとする場合、『生』の同行が不可欠になる。
これは、万が一の『裏切り』への警戒を兼ねていた。
……ちなみに時期が来れば、『妹達』のDNA情報でも解錠が可能にする予定だ。
いくつかのチェックと認証を済ませ、安達はプラントの中を進んでいく。
目当ての部屋に入ると、中央に備え付けられたモニターの正面にいた女性が、ゆっくりと振り向いた。
???「あら、いらっしゃい――風紀委員(ジャッジメント)としての初仕事はどうだったの?」
安達「ぼちぼちですかね……あー、偶然ですけど、オリジナルの……御坂美琴に会いましたよ」キョロキョロ
別れ際に迫間に妙な事を言われた所為か、つい『その人物』の姿を探してしまう。
???「そう、初日で出会えるなんて、幸運なのかも…………どうかした?」
安達「芳川さん……えっと、布束さんは?」
女性の名前は芳川桔梗(よしかわききょう)、現在では生達に協力してくれている『絶対能力進化実験』に参加していた、研究員の一人だ。
化粧っ気のない女性だが、なかなかの美人だと、一部の生の中では高評価だったりする。
芳川「隣の部屋で烏丸君と学習装置の点検してるわよ。キミ達のバージョンアップのシステムの効率化するとか……
それにしても、最初に訊くのは彼女の事なの?」クスクス
安達「――じ、実験の進行状況は?」
猛烈な恥ずかしさを顔に出さないようにしながら、部屋の隅に置かれたソファに腰掛ける。
芳川「18時の時点で第九六〇〇次実験を終了……こう毎日、実験の様子を見ていると、さすがに欝になりそうよね」
安達「スミマセン、嫌な役目を押し付けることになって……」
芳川「……そういう優しい言葉は、優しい人間の為に取っておきなさい? ……こんな甘いだけの人間に言う必要はないから」
安達「ですが――」
言いかけた安達を芳川は片手で制する。
芳川「私は実験に不快感を持っていながらも、それを受け入れていた。『妹達』を救おうとする訳でも、実験に抵抗するでもなく」
安達「けど、今は俺達に協力してくれているじゃないですか」
芳川「それだって、『受け入れた』だけの話よ。だから、私は……賞賛されるべきは、実際に行動を起こした布束さんや、キミ達であるべきだと思う」
安達「俺達は――彼女達が『一度死ぬ』のを看過しています」
――それで賞賛なんて受けるつもりはない。それは生の……『彼等』全体の共通認識だ。
芳川「……そうね、キミ達には覚悟がある。『妹達』に恨まれてもいいから、『一度死なせて』でも彼女達を救うという覚悟が」
安達「」
この女性は、自分に何を伝えようとしているのか。
芳川「――布束さんには、優しくしてあげなさい」
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