783:とある複製の妹達支援[saga]
2011/05/15(日) 23:45:56.12 ID:Ah7YFTiEo
ミサカ13号の連絡を受けた時、すぐに動けて、一番近くにいたのが新倉だった。
新倉生が駆け付けた時、迫間生は男子寮の4階にまで降りてきていた。
3階から4階へと上がる階段の踊り場で、新倉は立ち尽くしていた。
迫間生のあまりの状態に、だ。
その状態を一言で表現するならば――何故、生きているのか分からない。
今までも、色んな死に方をしてきたが、ここまでの重傷で生きていたケースには覚えがない。
新倉にしてみれば、自分が拷問を受けた時以上のダメージを負った迫間の姿に愕然とするしかない程に。
新倉「迫間の……お前、そんな身体で……」
迫間「ははっ……少し、無茶したじゃん……仮面も真っ二つにされちまってさ……」ヨロッ
新倉は、崩れ落ちそうになる迫間の身体を慌てて支えた。
新倉「予備の仮面なら持ってきた! 今、着けてやるから……!」
迫間「それぐらい、自分でやる……それよりも安達の部屋にインデックスを置いてきた……早く、保護してやってくれ……」
新倉「……けどっ……」
迫間「――もう、嫌なんだよ……友達を失うのは……」
新倉「っ!?」
頬にこびり付いた血が、涙に洗われて流れていく。
新倉には、それが迫間の血涙のように見えた。
新倉「――判った、任せろ」ダッ
迫間をそのままに安達の部屋へと向かう。
一心同体であるからこそ、その言葉だけで新倉は迫間の想いを理解していた。
クーデター事件の折、自らを愛する少女の蘇生の為の素材にした迫間生。
仮面を装着せずに、その肉体を捧げた為、試験個体との接触の後に『残留組』に蘇生された彼に、クーデター事件中の記憶はなかった。
今でこそ、それらの記憶を保有しているが、それは他の生から共有補完された擬似記憶に過ぎない。
だからこそ、彼は事件の顛末を知った時、二度目の後悔を味わったのだ。
親しき級友を、優しき教師を、愛する少女を守れなかったという事実に。
指一本触れさせないと、守り抜くと誓ったのに。
それを果たせなかった。
迫間「――今度、こそ……」カシュ
仮面を装着した迫間は、力尽きたように廊下に倒れこんだ。
迫間が撒き散らした血に反応したのか、ドラム缶型の清掃ロボットが集まってきていた。
それらを振り払う力は、迫間には残っていなかった。
ほんの少し前に新倉がやってきた非常階段の方から足音がしても、そちらを見る力も無かった。
そして。
――その直後、迫間生の肉体と数台の清掃ロボットは、3000度の炎によって、跡形も無く消滅させられた。
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