過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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248:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]
2010/12/19(日) 22:28:32.72 ID:2OChoWQ0

「そ、それじゃあさ」

おしぼりを手の中でいじりながら、おそうおそると言うように結標が一方通行に視線を寄越す。

「……ちょっと付き合ってよ今日」
「はぁァァ?何で俺が……て泣くな泣くな!!わかった。暇だから何処でも付き合ってやらァ!!」
「本当?」
「ああ…ッたくじゃねェと泣き止まないだろうが」
「えへへへ、私行きたい映画あったんだよね」


心の底から嬉しそうに微笑む結標。

「………」


何処にでもいる女の子が一方通行の目の前にいた。
一方通行は不意にその笑みに見惚れた。
暗部の人間とは思えぬほど、裏の世界など知らない人間のような、屈託の無い笑顔。


黒いシャツにピンク色のカーディガン。
七分丈のジーンズという格好は確かに何処にでもいるような女の子である。
しかし、それ以上に結標の浮かべる笑みが、一方通行にとある少女を連想させた。

そう、一方通行に佐天涙子を連想させた。

何故あの少女を思い出すのかはわからない。


ただ、結標の浮かべる笑みは、決して佐天に見劣りするものではないほどに、どうしてか輝いて見えた。

笑顔だけではない、その瞳。
結標の瞳もそうだ。
彼女が自分を見つめてくる瞳に、上手く説明の出来ない感情が上っていると感じるのだ。

それは佐天にも共通する。
彼女達の瞳の奥にあるものが一方通行にはわからない。


ただ、わかっていることが一つだけ。その瞳に見つめられるとどうにも調子が狂う。


普段他者にそうするように、冷然と突き放すことが出来ない。
居心地が悪いが、不快でもない。では一体何かと問われても、わからない。


結標の抱いている感情の機微を察するには、この学園都市第一位は余りにも感情が幼過ぎた。




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