過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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443:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2010/12/26(日) 01:48:26.12 ID:c29MpCE0

目の前には倒れ伏す少女。
仰向けに倒れる少女。

白い服に、花のように赤い雫を散らせた彼女の側に近づき、跪く。


どれほどの拳を浴びたのだろうかと思う程に醜く腫れ上がった顔。心の奥がきりきりと痛む。

既に知っている光景であり、現実にあった光景である。
それでも、何百回と見ても、心が慣れることはない。


片手で幼い少女を抱えたまま、目の下に刻まれた隈をそっと撫でる。

少女の瞼がうっすらと持ち上がり、どろりとした瞳が自分を見つめる。

硝子のような瞳とは対照的な濁った瞳。

湖の底の底を掬ったように、何も映っていない瞳は何もないのではない。

色々な感情が混ざり合い過ぎて、その結果何の色でも無くなったのだ。

腫れ上がり、裂けた血まみれの唇、本来は可憐な筈の少女の唇がゆっくりと開く。
少女の口にする言葉は決まっていた。
何百と聞いた言葉。夢でも現でも、何度も耳にした。
時に嘲笑と共に、時に哀絶と共に、時に溜息と共に、時に怒りと共に、時に冗談めかして、時に優しく。


少女の口にする、決まりきった言葉を、何百回目の覚悟と共に受け止める準備をする。
情けない話しであるが、何百と聞いても、心に走る痛みに慣れることはない。
こうして、覚悟を決めてもだ。


『貴方のせいだ』


あの日憎悪と共に吐き出された言葉は、ことんと、ビー玉を転がすようなあっけなさで自分の中に染み込んでいった。

それが全てを言い表していた言葉だから。


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