過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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貧乏螺子
◆d85emWeMgI
[saga]
2010/12/29(水) 01:05:48.02 ID:TW5Selw0
こみ上げる怒りを排出するように、深々と白い息を吐きながら一方通行は空を見上げる。
時刻は日付を跨いだばかり、空を見上げれば月が見事な真円を描いている。
真っ黒な天井に空いた穴のようだ。佐天を送っていったある日もこんな月だった。
まるで穴のようだと思っていたら心を読んだかのように佐天が言った。
『お月様を見て穴だと思う人は不安な人なんだって私なんかで読んだんですよ』
「くっだらねェ……」
月のすぐ下には歪なビルが一棟。
他にそのビルに見合う高さの建物が無いせいか、やたらと目を引く。
どうにも目の前のビルに一方通行は違和感を禁じえない。
そもそもこの一帯でまともに形を残しているビルは限られている。
今にも月を貫こうと待ち構えているようにその一棟はやたらと目を引いた。
それを差し引いても、ちくりとした違和感があった。
GPSに目をやりながら、こんなビルがあっただろうかと、思いかけて思考を閉じる。
どうでもいいことに思考を費やしている暇など無い。余裕も無い。
結局土御門の言っていた通りになった。
巻き込んで、そして、まんまと攫われてしまった。
さっさと手放してれば良かったのだ。突っぱねて、少しくらい傷つけてでもこんな下衆から引き離してやればよかった。
きっとそうすれば今頃は温かい寝床に就いて、穏やかに眠っていたはずだ。
しかし、後悔は後でいい。
離れるのも後でいい。
今は真っ先にすべきことがある。
視線をそのままゆっくりと地上に下ろしていくと、一瞬、視界がぼやける。
うんざりとするその光景に煩わしさを吐き捨てるように舌打ちをする。
身体の感覚を麻痺させてしまうようなこちらの寒さとは無縁の熱気でむせ返ってしまいそうだ。
人の醸し出す音の重なり。寄り集まった肉の放つ熱。無数の息遣いが溶け合う空気。
「よくもまァ……こンなにカスを集めたもンだなァ……何だか見かけたツラばかりじゃあねェかァ?」
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