過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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691:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/04(火) 23:22:38.63 ID:EC4LCcw0

佐天涙子と、番外個体、打ち止め、そして結標淡希。
この姦しい少女達が立ち去りようやく静かになったと思った矢先に現れた新たな訪問客。
目の前にいる少女を一言で言い表すならば『お花畑』。
少女の話では、どうやら佐天の友人であることはわかった。
それは着ている制服でもわかる。問題は、その初対面の少女になぜ林檎を剥いてもらっているのだろうかということだ。

「ウサギさんです」
「お、おォ…」

手渡されたウサギを何となく見つめる。
視線のもって行く先がわからなかったからだ。
それにしてもりんごのウサギはいつも何処から食べるのが正統であるのかわからない。
耳を齧るのか、頭部丸ごとなのか、それともお尻からなのであろうか。
そんな事を考えている間に、少女 ――― 初春飾利はにっこりと笑う。


「これで二回目ですね、アナタとお会いするのは」
「二回目…?」
「ハイ、第二位から助けてくれました。アホ毛ちゃんは元気ですか?」

第二位という言葉でようやく納得が行った。

「あの時のガキか……アイツといい、つくづくお前らの学校はメルヘンに呪われてるんじゃねェのか」

路地裏の不良に絡まれるというレベルではない。
よりにもよってというレベルだ。
その言葉が図星なだけに初春はただ苦笑する。

「それでもって第一位に何かとご縁があるみたいですね」

「知らねェよ」

正直この手の笑顔は苦手だ。佐天を髣髴とさせる芯の強さと純粋さを持った笑顔。
この笑顔を前にするとどうにもいつもの調子が出ない。
目を逸らす一方通行を優しい眼差しで見ると、初春は何かを胸に決したように瞳を一度伏せる。


「あの時は本当に……ありがとうございました」


初春がぺこりと頭を下げる。





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