過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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784:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/09(日) 04:03:29.36 ID:eAcK7RE0

大事なことを言い出そうとして言えない子供のような仕草が彼らしくなく、そして少し可愛らしかったから。
いつも散々からかってくれているお礼だと思った。
恥ずかしさを押し隠して、思い切り顔を寄せて、覗き込む。
いつものように子供扱いしてぐいっと引き離されるものだと思っていた。
いつもと違っていたのは引き離すのではなく、引き寄せられたということ。



佐天涙子は、今、一方通行に抱きしめられていた。



佐天を戸惑わせているのはただ抱きしめられているからというだけの理由ではない。
一方通行の抱きしめる腕の加減。
一方通行の漏らす切羽詰った熱い吐息。
一方通行の伝える駆け足気味の鼓動。
一方通行の低めの体温と柑橘系を想起させる香り。
少しずつ、少しずつだが、確実に何処か何かが異なっていた。
一方通行の腕のなかから佐天はそっと伺うようにその表情を見上げる。


そして、佐天は息を呑んだ。

自分を見下ろす赤い瞳に映る余裕の無さ。
息が詰まる程の張り詰めた感情の撓み。
内に熱さを秘めた少年だとはわかっていたが、こうまではっきりとそれを自分の前に曝け出すのを佐天は初めて目にする。
その緊張に強張った頬に手を触れてしまおうと思うが、すぐにそれを押し留める。
触れてしまえば、溢れてしまいそうな一方通行の表情に怯んでしまったから。
自分がそうさせてしまってはいけないという直感。

だから、佐天は待つことを選ぶ。

彼が一体何を自分に言おうとしているのかを、彼の腕の中で。




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