過去ログ - 御坂旅掛「世界に足りないものはなーんだ?」
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16:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2010/05/26(水) 21:14:20.66 ID:jc0ANV20

ヒートアップしていく中年親父。
まさかショックのあまりに脳が……と失礼なことを考えながら一九九九九号は、


「え、いや、あの、とミサカはまず落ち着いてくださいと声を掛けます」


恐る恐る旅掛に声を掛ける。
だが旅掛は聞こえていなかったのかハイテンションを維持したまま一人語りを止めようとはしない。


「でもさぁ蓋を開けてみたら一万人近くときたもんだっ! お父さんビックリしちゃったよー、
 こりゃ笑うしかないよな? あっはっはっはっ! 
 ってあぁ、そんな冷たい視線で見ないでくれないかな? 怒ってる、怒ってるよね? 頼りない親父で」


頼りない以前に危険な人にしか見えません。
そう言う訳にもいかず、一九九九九号は我慢強く粘りの姿勢を見せる。


「怒っていません、とミサカは答えながら落ち着けと強めに諭します」

「ほぅら、ほぉら怒ってる! 言葉では否定してるけど口調が怒ってるもん!」

「素っ気無い口調は元からです、とミサカは冷静に返答しつつ、内心ではウンザリとしてきました」


先程まで横たわっていた重たい空気は霧散してしまっている。
旅掛は一人で追い詰められた人が浮かべる半笑いの表情になっているが、
むしろ深刻に受け取るなら養う云々じゃあなく、もっと違う部分で深刻に受け取るべき箇所は多々あったのだが、
本当にちゃんと説明を聞いていたのだろうか? と一九九九九号は頭を悩ませるが答えが導き出される事はなかった。


(ですが良かったです、とミサカ一九九九九号は安堵します)


一九九九九号は必死に弁解をしている旅掛に視線をやりながら胸を撫で下ろす。
今も尚続く旅掛の弁解する姿を見れば、一九九九九号が懸念していたよりも衝撃が少なかったのは一目瞭然。
これならば彼の今後の活動に与えられる支障も少なくて住むだろう。
失意のどん底に囚われたまま、沈んでいく身を眺めさせられるなど、誰にとっても報われないのだから。
本当に良かったです、と一九九九九号は微かに表情筋を動かしていた。無意識の内に。
それを見逃さなかった旅掛は、


「漸く笑ってくれたね。今日初めての君の笑顔だ」


なんてキザったらしくも温かい笑みで喜んでいた。
娘が好きで好きでたまらないという父親の笑みで。



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