過去ログ - 御坂旅掛「世界に足りないものはなーんだ?」
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[saga]
2010/05/26(水) 21:43:06.34 ID:jc0ANV20
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ドパンドッパァンッ、とプールの一番外側のレーンから轟音と水飛沫が跳ね上がる。
機雷が爆発したような衝撃を生み出しているのは、美鈴がインストラクターから教わり
習得したバタフライ(どこの大会に出るの? と首を傾げたくなる堂になったフォーム)で
水中を走った結果である。
教授したはずのインストラクターは頬を引き攣らせながら絶句しているが、美鈴は調子よくペースを上げていく。
(やっぱり水の抵抗を殺しすぎたら意味ないから、こっちで正解だったわけよ)
水を斬り疾走する様は人魚。
隣のレーンではアスリートの女性がライバル心を剥き出しにしながら必死に並走しようと『クロール』で
喰らい付こうとするが、無残にもどんどん引き離されていく。
そのまま端まで泳ぎきった美鈴は水中で綺麗な円を描くとターン。
勢いを殺さずまた水中を疾走し、水飛沫を跳ねさせていく。
隣のレーンの人とすれ違った時に、なんか泣きそうな顔してたけど嫌なことでもあったのかなぁ、と適当に考る美鈴。
と、また超速度で端まで辿り着いた美鈴に「あらあら。あいかわらず凄いですね」と柔らかいお淑やかな雰囲気の声が掛けられた。
「そんなことないですよ上条さん」
少しだけ息を切らせた美鈴は待ち人――上条詩菜に笑みを見せた。
清楚とした白いワンピース(要所要所は意外に攻撃的な)の詩菜は少し困ったように、
「ひょっとして私は遅刻をしてしまいましたか?」
「いえいえ違いますって。先に運動済ませちゃおうかなって思って私が早めに来ただけですから」
それは良かったです、と微笑む詩菜。
そのままプールに浸かると、「せーのっ」と掛け声と供に水死体が一つ出来上がった。
水を弾く詩菜の肌はピチピチの十代のそれ。
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