過去ログ - らき☆すたSSスレ 〜ひと夏の夢物語〜
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花見 2
[saga]
2011/04/09(土) 10:26:25.88 ID:7fyVvAGy0
こなた達はコップのお酒を飲み始めた。つかさの作った料理が次々と配られる。私は少し離れて桜の木を眺めていた。
お酒は別に飲めない訳ではない。飲む気分になれないだけ。心配なのはつかさだ。つかさがお酒を飲んでいる所を見たのは一回もない。飲み方を知っているのか。
もっともつかさはもう社会人だ。そのくらいの嗜みは心得ているだろう。そうは言ってもほんの数年前まで高校生だった私達、もうお酒を飲み交わす歳になったのか。
咲き乱れている桜、小学校、中学校、高校、そして大学。幾度となくこの花を見ている。毎年毎年。私は幼少の頃の自分を思い出して物思いに耽っていた。
どのくらい経ったか。おそらく一時間は経っていないだろう。楽しげに会話が弾んでいるこなた達。笑い声が私の耳に入ってきた。
一人で物思いの耽るのも飽きた頃。私はこなた達の方に目線を向けた。ふとつかさの顔を見た。酒で酔っているのか顔が、特に頬がほんのりと赤くなっている。
唇もこの公園に来るときよりも赤く見える。口紅を塗っているみたいだった。目も少し潤んでいるように見える。ドッキっとした。艶やかだ。
女の私から見ても嫉妬するくらい色っぽく見える。あれがつかさなのか。違う。そこに居たのは大人の女性、つかさだった。
それに引き換え私は、こなたが私の言うことを聞かないだけでふて腐れて……子供の様だ。自分が情けなくなってきた。
みゆき「かがみさん」
声のする方を向いた。どうやらこなたとつかさの会話に付いていけなくなったみたいだ。みゆきの持っているコップには殆どお酒が残っていない。
私はお酒の入ったビンを持ってみゆきに差し出した。みゆきも持っていたコップを私に差し出す。
みゆき「かがみさんの姿があまりに悲しげでした、大丈夫ですか」
妹を見て嫉妬していたなんていえる筈もない。
かがみ「桜を見ていたらなんか昔を思い出しちゃってね」
みゆき「そうですか」
みゆきも酔っている。でもつかさほど変わっては見えない。みゆきは私の注いだお酒を飲むと桜の木を見つめた。
みゆき「このソメイヨシノ、かなりの樹齢のようですが、本来ソメイヨシノはそんなに寿命は他の木に比べると長くはないのです、人間と同じくらいの寿命で枯れてしまう
ものもあるそうですよ、この桜は人の手を加えられて大事にされているみたいですね」
かがみ「どうして寿命が短いのよ、葉よりも先に花を咲かすから負担がかかるのか?」
みゆき「それなら桃等も同じです、おそらくソメイヨシノは品種的に弱いのかもしれません、しかしこの桜は別物のようです」
かがみ「命を削ってまで毎年花を咲かすなんて、私たちの為に毎年」
みゆき「どうでしょうか、桜は別に私達人間の為に花を咲かせている訳ではありませんよ、植物が花を咲かすのは、私たちが呼吸するように、食事をするように、
自然の営みにすぎません、私達人間が勝手に綺麗だと思っているに過ぎません」
酔っていてもみゆきはみゆきか、しかしみゆきはこんな皮肉じみた話し方はしない。
かがみ「どうしたのよ、みゆきらしくないわよ」
突然みゆきの目から涙が出てきた。
みゆき「来年になれば学生は私一人になってしまいます、またこのように皆さんが集まってくれるでしょうか、現に日下部さんやみなみは……
私達は学生のように自由でいられなくなります、何時の間にか疎遠になって忘れ去れるのではないかと」
日下部達が来られない理由はみゆきだって知っているはず。今更そんな事で泣くなんて。みゆきの涙の量は増えるばかり。まさかみゆきは泣き上戸なのか。
かがみ「だからこうして集まってるんでしょ、折角のお花見が台無しになっちゃうじゃない、私も飲ませてもらうわ、一緒に飲もう」
私は既にお酒が注がれたコップを手に取った。みゆきの潤んだ目が私を見ている。コップを口に近づけようとした時だった。突然後ろから誰かに抱きつかれた。
こなた「かがみ〜助けて!!」
手に持っていたコップを溢しそうになった。コップを置いてこなたの方を向いた。こなたの顔は真っ赤だ。飲みすぎなのは一目瞭然。
かがみ「絡むなら後にしてくれ、今はみゆきと話しているところだ」
こなた「だって、つかさが、つかさが……」
必死に助けを求めている。私はつかさを見た。つかさは酒の瓶を持っていた。中身は八割くらい無くなっている。まさかつかさとこなたであれだけの量を飲んだのか。
あれほど艶やかだったつかさの表情は一変しこなたと同じように顔は真っ赤だ。これではただの酔っ払いじゃないか。
つかさ「私のお酒が飲めないって言うの、こなちゃん、早くコップ出して」
こなた「だ、だからもう飲めないって……許して〜」
どうしてそうなった。経過を見ていないがつかさは酒癖が悪いのが今分かった。
つかさ「だーめ、許さない」
つかさは強引にコップに酒を注ごうとしているが目標が定まらず酒がシートに零れた。私はつかさから瓶を奪い取った。つかさは私を睨み付けた。
つかさ「お姉ちゃん邪魔しないで、私はこなちゃんと飲んでいるの、こなちゃんがいっぱい飲ませるから今度はこなちゃんの番だよ」
かがみ「こなた、あんた無理やり飲ませたのか」
こなた「知らない、知らないよ〜」
もはや二人とも話をするような常態じゃない。私は二人の間に割って止めた。みゆきは更に泣き出した。私は三人の酔っ払いの世話をする羽目になった。
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