過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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114: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2010/11/18(木) 01:36:23.51 ID:4wteoHEo
一方通行は美琴が出て行ってから暫らく経ったのを見計らうと、ベッドのすぐそばに置いてあった松葉杖を取って病室を出た。
もはや歩き慣れてしまった病院の廊下を進み、一方通行は美琴が出て行ったのとは違う出口から外に出る。
そしてポケットの中に仕舞っておいた携帯の電源を入れると、電話帳に入っている数少ない連絡先の中からひとつを選んで電話を掛けた。

「タイムセールは終わったか? 予定よりかなり早まったが、御坂を樋口製薬・第七薬学研究センターに誘導した。オマエも来いよ」

それだけ言うと、一方通行は電話の向こうで慌てている相手を無視して一方的に電話を切った。
そうして彼は携帯電話を再びポケットに入れると、病院に戻らずにそのまま無断で外に出て行ってしまう。
御坂妹に、会わなくてはならなかった。



―――――



一方通行にわざわざ嘘をついてまで病院を飛び出した美琴は、思いっ切り帰り道を逆走していた。
行き先は、もちろん樋口製薬・第七薬学研究センター。
本当はずっと気になっていた、クローンの目撃情報のあった場所。

それに目撃情報があったのが研究所なら、白井のような風紀委員に情報が行っていなかったのも納得できる。
研究所なんかの施設は、完全に風紀委員の管轄外。警備員の管轄だ。
しかも如何に警備員であったとしても、研究所など何か決定的な証拠でも無ければ踏み込むことなど絶対に許されない。
そして当然、こんな噂程度の目撃情報なんかではそんな大それたことなど出来る訳がない。

しかし、美琴は違う。
ありとあらゆる電子機器を自由自在に操ることができる超能力者の第三位は、
誰にも悟られることなく物理的にも電子的にも何処にでも侵入し、そこにある情報を引き出すことが出来る。
だから美琴は、そんな下らない制約に縛られたりはしないのだ。
そして、だからこそ美琴には一切の躊躇いが無かった。

「……ここ、ね」

美琴はとある建物の前で立ち止まると、息を切らしながらそう呟いた。ここが、例のクローンが目撃された場所。
彼女はごくりと唾を飲み込むと、そっとその門に触れる。
そして目を閉じて細く息を吐くと、意を決して門を乗り越え建物の敷地内へと侵入する。
持ち前の運動神経でもって華麗に着地すると、彼女は立ち止まることなく一気に一番大きな建物の中へと駆け込んだ。

美琴は自分の行く手を阻む電気的なセキュリティをすべて解除し、撹乱し、利用して先へ先へと進んでゆく。
やがて安全と言える場所までやってきた美琴は、携帯しているPDAを使って研究所のシステムに直接接続し、それらしい研究部署を調べ始めた。
ちなみに、彼女の場合電気的なセキュリティにはまったく気を配らなくても良いのだが、所員やガードマンの目だけは彼女の能力ではどうすることもできない。
だからそういった人の目にだけ気をつけながら調査を進めていくと、彼女は明らかに怪しい区画を発見した。

(電源はあるのにLANが配線されてない隔離区画……? 取りあえずここから当たってみるか)

と、その時。暗がりに隠れていた美琴のすぐそばの壁が懐中電灯のライトで照らし出される。
幸い、光源となっている場所から美琴の位置は死角になっているので自分の存在はばれていないが、心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。
見つからないようにそっと様子を窺ってみれば、どうやらガードマンが巡回にやってきたようだった。


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