過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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◆uQ8UYhhD6A
[saga]
2010/11/18(木) 01:41:29.62 ID:4wteoHEo
―――――
廃ビルの最上階、大広間への扉前。
ここまで一気に階段を駆け上がってきた所為で荒れてしまった息を整えながら、美琴はそっとその扉のノブに手をかける。
(…………、……この、先に……)
しかし、そのドアノブを押して扉を開くのは、とても勇気のいることだった。
美琴はドアノブに手をかけたまま目を閉じて深く息を吐くと、そのまま一息に扉を押し開く。
開いた扉の先の大広間は薄暗く、ここからでは一番奥まで見通すことが出来なかった。
左右の壁に等間隔に配置されている小さな明かり以外には何の光源も無かったが、普通に歩き進む分には問題なさそうだ。
美琴は能力で作った電気の明かりを消滅させると、壁に掛けられたランプの発する不気味な光を頼りに恐る恐る先へ進んで行く。
よくよく見れば、壁のそばには明かりの他にも何か大きなものが並べられてあるようだ。
それらには全て黒い布が掛けられているのでその正体は分からなかったが、ここがそもそもどういう目的で使われている場所なのかを思い返してみれば、どうせろくでもないものなのだろうという予測は立てることが出来た。
黙々と、ゆっくりと歩を進めていると、彼女はやがて大広間の奥まで見渡すことの出来る位置に辿り着いた。
そこには、確かに人の気配がある。
そしてその最深部には、一心不乱に餌にがっついている子猫と何やら達観した表情でその子猫を見守っている自分そっくりの少女の姿があった。
調整と聞いていたので何かもっとおぞましいものを見ることになるのではないかと身構えていた美琴は、思わずきょとんとしてしまう。
「ふふふ……ミサカはもう諦めました。いえ、いぬが幸せなら良いのです……、とミサカは現実逃避します」
「…………、あれ? あの、ちょっと?」
「申し訳ありませんが、現在いぬが食事中なので静かにして頂けますか?
まあそれ以上に準備が全て台無しになってしまったことによる精神ダメージが莫大なので正直そっとしておいて欲しいだけなのですが、
とミサカは本音をぶっちゃけます」
「は、はあ」
わざわざ言われなくとも明らかに近寄るなオーラを発しているのが分かるので、美琴は少女の言うことに従うほかなかった。
下手につつくと事態を悪化させるだけのような気がしてならない。
そこで美琴は、とりあえずできる限り少女を刺激しないように慎重なコミュニケーションを図った。
「あの、大丈夫? 元気出して……」
「ミサカは……、ミサカは、わざわざこんなに仰々しい舞台まで用意して、RPGの魔王っぽい衣装も揃えていたというのに、
まさか最後の最後で失敗することになってしまうとは……。
……いえ、やはりいぬを捨て置くことはできません。
彼は薄情なことばかり言いますがミサカは断じて後悔などしていないのです、とミサカは自分に言い聞かせます」
何を言っているのかよく分からない。
分からないが、とにかくそれを不憫に思ったらしい美琴は何とかして少女を慰めようとするが、彼女は一向に顔を上げてくれる気配がない。
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