過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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◆uQ8UYhhD6A
[saga]
2010/11/23(火) 21:30:27.73 ID:QjJiIigo
掠れた声になりながら怒鳴る天井を横目に見ながら、芳川はやれやれと首を振る。
そして困ったように笑いながら、ゆっくりと頬に手を当てた。
. . .
「と言っても、状況証拠だけでしょう? 明確な証拠も無いのに適当なことを言わないで欲しいわね。わたしはただの善良な研究員よ?」
「こ、いつ……!」
「……イエ、彼女の言う通りでス。彼女と妹達を関連付ける決定的な証拠は何もなイ。ただ、状況的に彼女が最も疑わしいというだけでス」
「理解してくれて嬉しいわ。それじゃ、わたしはまだやることがあるから」
「待て! まだ話は……!」
「ああ、そうそう。勢い余ってあの子に手を出したりしないようにね?
わざわざ上から下された『手を出すな』っていう命令に逆らった所為で、この実験が中止になってしまったらとても残念でしょう?」
それだけ言うと、芳川はにこにこ笑いながら軽く手を振ってその研究室を後にする。
後ろの方でまだ天井が何かぶつぶつ言っていたが、彼女は意に介さなかった。
そうしてしばらく歩き続けた彼女はやがて極端に人通りの少ない廊下に出ると、そこで二人の少女に出くわした。
「あら、あなたは布束さんと……、」
「このミサカは10032号です。上位個体の世話係を仰せつかっていました、とミサカは何度目になるか分からない自己紹介をします」
「そう。ごめんなさいね、あなたとは一番付き合いが長いのに分からないなんて」
「構いません。彼でさえ、見分けることができたのはこのミサカを含めてもほんの数人のミサカだけでした、とミサカはフォローします」
「incidentally.アレは用意してもらえたのかしら?」
「ええ、もちろんよ。はいこれ」
芳川は懐から手紙を取り出すと、それを布束に手渡した。
その白い封筒は、外側からは何が入れられているのかまったく分からないようになっている。
また、封筒には宛名どころか差出人も住所も、何も書かれていなかった。
しかし布束はそれを受け取ると封筒を矯めつ眇めつし、それからそれをしっかりと鞄の中に仕舞い込む。絶対に失くしてしまわないように。
「それに必要なことは全部書いてあるわ。あとは適当な妹達にでも頼めば大丈夫。ただ、気を付けてね」
「確かにこの『実験』に関わっている人間は多いですが、それでも全てのミサカたちを完全に監視下に置けるほどではありません。
それほど気を張らなくても大丈夫でしょう、とミサカは楽観的な見解を示します」
「……indeed.ありがとう、助かるわ。あなたも色々と大変でしょうに」
「いいえ、妹達が上手くやってくれてるから気楽なくらいよ。あの責任者と天井の悔しそうな顔ったら、本当に笑えるわ」
「あなたは本当に良い性格をしていますね、とミサカは芳川桔梗が味方であったことに感謝します」
くすくすと本当に可笑しそうに笑っている芳川を見て、布束は呆れたような顔をした。
しかし次の瞬間、芳川は唐突に笑顔を引っ込めると珍しく真剣な表情を浮かべた。
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