過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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17:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]
2010/10/24(日) 16:58:50.11 ID:lnwWc/Yo
「奴ら、ね。その、君を追っている人たちについては教えてくれないのかい?」

「……なにしろ記憶喪失だからな。追われてる俺にも、奴らが誰なのか分からねェ。まァ、ヤバくなったら出て行ってやる。安心しろ」

「そんな心配は無用だよ。前にも言ったけど、僕はちょっと上層部の方にコネがあってね。
 たとえ統括理事会の連中だって、おいそれとこの病院には手出しできないんだよ?」

「どォだか。それが俺を丸め込むためのハッタリじゃねェって証拠は何処にもねェンだ」

「本当に疑り深い子だね? 君は子供なんだから、そんな心配はせずに病室でのんびり眠っていればいいんだよ」

冥土帰しは優しい声音でそう言ったが、一方通行はそっぽを向くばかりでちっともその言葉を信用しようとしない。
頑固な少年に呆れながら、冥土帰しは机の上のカルテを整理していた。

「ああ、そう言えば君に能力奨学金が出たよ。後で新しく作った通帳を渡すから、確認しておくといい。
 ちょっと変わった方法を取らせてもらったから、身元や名義については心配しなくても大丈夫だからね?」

「……手の込ンだことしやがって。一体何が目的だ?」

「何も無いさ。強いて言えば、患者に必要なものは何でも、どんな手を使ってでも揃えるのが僕の信条でね?
 これが君に必要だろうと思ったから揃えただけのことさ」

「わざわざご苦労なことだな。まァ、貰えるもンは有り難く貰っておくとするか」

一方通行は呆れたようにそれだけ言うと、すぐそばに立て掛けてあった銀色の松葉杖を手に取った。
別に足が悪いわけではないのだが、一方通行は時たまふらついて倒れそうになることがあるので、冥土帰しに無理矢理持たされているのだ。
一方通行は最初こそ色々と文句を言っていたが、
実際松葉杖に助けられることが多いのか今では何も言わずに素直にこれを持ち歩くようになっている。

「そうそう。もうだいぶ良くなって来てるから、外出しても大丈夫だね?
 彼らに街を案内してもらうんだったら、次の休日あたりに彼らを誘ってみたらどうかな?」

「そォかい。お気遣い痛み入るよ」

それで話は終わったとばかりに、一方通行は冥土帰しに背を向けてさっさと診察室を出て行ってしまう。
冥土帰しはそんな一方通行の後ろ姿を見送りながら、小さな溜め息をついた。

「やれやれ。本当に、このまま何事も起こらないでいてくれると良いんだけどね?」


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