過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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286: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2010/12/30(木) 00:40:10.25 ID:qCEAQfQo



御坂が気付かなかったら。
御坂が反応できなかったら。
御坂が対応してくれなかったら。

そんなifを考えるたびに、ぞっとした。
そうならなくて本当に良かったと、心から思った。
……そうならないように、気を付けていたつもりだった。

だけど、甘かった。あまりにも甘すぎた。
これが最後だなんて、なんてひどい我儘だろう。
結局巻き込んだ。危うく殺しかけた。実際、自分だけでは守れなかった。
御坂が居なかったら、死んでいた。

(やっぱり、駄目だった。駄目だったンだ。駄目だ。駄目なンだ)

否定的な言葉の羅列。そんなものばかりが彼を支配する。心が千々に掻き乱される。
しかしそんな中で、頭だけは何故かいやに冷静だった。

これからどうするべきなのか、何をするべきなのか。それらすべてを冷徹に計算して、これから行うべき行動を組み上げていく。
だから彼は、一方通行は、能力を駆使して全力で駆ける。

少しでも早く、彼らから遠ざかる為に。
少しでも早く、奴らを駆逐する為に。
                                                      . . .. . . .
(初撃の軌道から狙撃手の位置は割り出せた。御坂が反撃はしたが、アイツの言う通り死ンではいねェ)

ビルの屋上から屋上へ飛び移りながら移動していた一方通行は、やがてとあるビルを目の前にして足を止めた。
そこは、最初に彼らに砲弾を放った駆動鎧たちがいるはずのビルだ。
実際、美琴の反撃の所為で、ビルの一角が完全に破壊されている。
一方通行は何を考えているのか分からない瞳でそこを見上げると、しかし特に何も思うことなく地面を蹴って飛び上がった。

『!? も、目標がF−3に到達!』

『確保、確保だ! 何が何でも捕らえろ!』

その屋上の淵に降り立った途端に聞こえてきた駆動鎧たちの声を、一方通行はまるで他人事のように聞いていた。
いや、実際それは他人事だった。
……こんな駆動鎧風情が、今の彼を捕らえられるはずがなかったから。

「よォ。随分好き放題暴れまくってくれたなァ?」

自分でも聞いたことがないくらい残虐な声だった。
その声に、それまで忙しなく動き回っていた駆動鎧たちが蛇に睨まれた蛙のように凍り付く。

実に、実に愚かしいことに、駆動鎧たちはこの時になって漸くこの少年の恐ろしさを理解したのだった。
そしてそれは、あまりにも遅過ぎた。



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