過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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318: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/04(火) 23:26:33.50 ID:6HfT1jco

時は、垣根と『反対派』の妹達が会話していた時刻よりも少々遡る。
場所は、とあるビルの屋上。

乾いた風の音だけが木霊するその屋上には、たった一人の少年だけが立っていた。
彼の足下に転がっている無数の血だるま達は、ただ一人を除いてすべて息絶えている。
そして辛うじて生き長らえている最後の一人も、今まさにその生涯を閉じようとしていた。
けれど。

「どォしてオマエを生かしてあるのか、分かるよなァ?」

この血の海の中にあってなおその白を保ち続けている少年は、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返す男の髪を引っ掴んで持ち上げた。
抵抗なくぶら下がる男の顔を眼前まで持ってくると、彼はにこりと冷たい笑みを浮かべる。

「これだけのことを仕出かすンだ、まさかこれで全員ってワケじゃねェだろ? ……他の連中の居場所、教えろ」

「ぃ、ひぃ……」

「声が出せねェ振りなンかしてンじゃねェぞ。わざわざちゃァンと喋れるよォに気を付けながら踏み潰してやったンだからなァ?」

下手な誤魔化しは通用しない。この少年は、すべてを見抜いている。
抵抗する力も逃走する力も既に失われてしまっていた。四肢が潰されてしまっていて、まともに手足が動かないからだ。
とは言え、例え万全の状態だったとしても、彼から逃げ切ることなどできなかったがろうが。

「……わ、分かった、教える……、だか、だから、助けて……」

「あァ? そンな詰まんねェこと聞きたくて訊いたンじゃねェよ。ホラ、さっさと吐け」

「え、A−5……、A−5、に、追撃班が……」

「暗号で言われても分からねェよ。具体的な場所を言え」

「地図……、隊長が、暗号の書かれた地図を持ってる……、それを見れば……」

それを聞いた少年は男を適当に放り投げると、既に屍と化した、ひときわ強固な装備に身を固めた男のもとへと歩いて行く。
そしてその懐をまさぐり、それらしい紙を取り出した。
酷い殺し方をした所為で地図はだいぶ血に汚れてしまっていたが、読めない程ではない。

「ふゥン、これか。……なるほど、これがありゃ一発だな。で、他の班は?」

「ぅ、うう……」

「誤魔化そォと思うなよ? オマエらの規模は大体の予測がついてる。オマエの仲間の居場所、洗いざらい吐いて貰うからなァ」

ぎろりと睨まれた男は、まるでその真っ赤な瞳に縫い止められてしまったかのように凍りついた。
そして途切れ途切れになりながらも、ぽつりぽつりと全ての部隊の待機しているポイントを明かしていく。
少年は、それを一字一句も漏らさずに記憶しながら地図を参照していった。

「それで全部か。……騙しやがったら承知しねェぞ」



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