過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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321: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/04(火) 23:35:30.40 ID:6HfT1jco

しかしその男は、最後まで言い切ることができなかった。
声が出なかったのだ。
……こんなにも強い力で首を締め上げられれば、当然のことだが。

「あ、あぐ……!? あぐぜられーだ……!」

しかし少年は答えない。
それでも男は何かを言おうとして言葉を続けようとした、が、その時ぼきりと鈍く重い音がした。
途端、その身体から完全に力が失なわれ、男はまるで吊り下げられた人形のようになる。

白い少年は動かなくなった男を地面に叩き付けると、その手から滑り落ちた無線機を拾い上げる。
彼は落ちた拍子に切れてしまったのだろう通話機能をオンにすると、通信相手に向かって刻み付けるようにゆっくりとこう告げた。

「つ、ぎ、は、お、ま、え、だ」



―――――



もういくつのテロリストの拠点を壊滅させたのか、数えるのも億劫になってきた。
どうやら最初に美琴が推測した通りにこのテロリストたちの狙いは自分たちだったようで、テロリストの拠点は彼らが最初の砲撃を受けた場所を囲むようにして設置されていたのだ。
幸か不幸か……、否、上条にとっては間違いなく不幸なことに、そのお陰で彼らはとんとん拍子に拠点を襲撃することができた。

そして、警備員の収集した情報によれば今二人の目の前に聳え立っているこの廃屋で最後のはずだった。
警備員の行動記録の方はハッキングしていないので詳細は分からないのだが、どうやら警備員が精力的に働いてくれているようで、次々とテロリストの拠点が潰れていっているようなのだ。
この調子ならばわざわざ美琴たちが動かなくても大丈夫だったのではないか、という程に。
けれど自分の手で何とかしなければ気が済まないらしい美琴は、そんな情報を得ても一向にその足を止めることは無かった。

「さて、ここで最後ね。気合い入れて行くわよ」

「警備員が動いてくれているとは言え、この短時間で本当にテロ組織を壊滅させるとは……。やっぱ超能力者ってすげえ」

それなりにハードな戦いをもう何度も潜り抜けているのにも関わらず、美琴は未だに元気いっぱいといった様子だ。
対して、その後をついていくだけで特に何をしているでもない筈の上条はげっそりとした顔をしていた。
とは言え、ついて行っているだけとは言え彼はもう何度も命の危険に晒されている。
こんなことをしているのだから疲れるのも当然のことだし、彼も覚悟は決めていたのだが、やはり体力的によりも精神的にかなり参っているようだ。

「でも、正直私もびっくりしてるわ。こんなに簡単に片付いちゃうなんて。
 こういう組織ってある程度統率が取れてるものだから、襲撃を受けたチームから連絡が行って対策立てられちゃうかなって思ってたんだけど、全然そんなことないし。
 もっと苦戦すると思ってたから、私も拍子抜けよ」

「お、おい、そんなこと今まで一度も言ってなかったじゃねえか」

「訊かれなかったし、説明したところでアンタに何かができるわけじゃないでしょ? だから説明する必要が無いと思って」



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