過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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324: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/04(火) 23:48:53.35 ID:6HfT1jco

一方通行は、驚いたような、嬉しそうな、苦しそうな、愉しそうな、悲しそうな、焦ったような、そんな様々な感情が綯い交ぜになった顔をする。
しかし、その表情の意味するところを、美琴は察することができなかった。
少し遅れて、上条も部屋に入ってくる。彼も、美琴と同じような反応をした。状況を理解できていなかった。

その時、両者に致命的な隙が生まれた。
そしてその大きな隙を、倒れている男は見逃さない。
男は懐から拳銃を取り出し、一瞬の迷いもなくその引き金を引いた。


狭い部屋に、銃声が反響する。
瞬間、一方通行は頬に鋭い痛みを感じた。同時に、どろりと暖かいものが頬を伝う感触も。
咄嗟に撃った所為でろくに狙いを定めていなかったからか、銃弾は男の想定していた軌道から大幅に逸れ、一方通行の頬を掠めるだけに終わった。
しかしそれを目の当たりにした美琴は激情に身を震わせ、その怒りのままに右手を振り抜く。

「ッに、してんのよ!!」

男がもう一度引き金を引くよりも早く、美琴の電撃が男の身体を貫いた。
彼女の放った目映い紫電は容赦なく男に突き刺さり、その意識を完全に闇の底に落とす。
だが、命までは奪っていない。
意識を失って地面に崩れ落ちていく男を、一方通行は茫然と眺めていた。

すると、一方通行は突然ぐいと腕を掴まれる。
痛いぐらいの力で腕を引っ張っているのは、美琴だった。

「ちょっとアンタ、大丈夫!? 怪我してないでしょうね!」

乱暴に腕を引っ掴んで一方通行の怪我の具合を確かめている美琴に、一方通行は曖昧な言葉を返した。
やがて美琴は一方通行に目立った外傷がないことを確認すると、ほうっと大きく息を吐く。

そして彼女は、先程まで馬鹿なことを考えていた自分をぶん殴りたくなった。
何を勘違いしていたのだろう。

当然だ、最初に自分が言ったのではないか。
一方通行は明らかに面倒な事情を抱えている。だから、何者かに狙われるようなことがあっても不思議ではないと。
だから彼は、多分ここに捕まっていただけなのだ。
それで何かの拍子に相手が隙を見せたから、反撃に転じて相手を殴り倒しただけ。
ちょうどその瞬間に、二人は立ち会ってしまった。
ただ、それだけのことなのだ。

美琴よりも何拍か遅れてやっと我に返った上条も彼女と同じ結論に至ったのか、慌てて駆け寄ってくる。
そして、俯きがちになっている一方通行の顔を見ながら心配そうな顔をした。

「すげえ顔色悪いぞ、本当に大丈夫か?」

「まったく、やっぱりこんなところに居たのね。
 って言うかアンタ、そんなに顔色が悪いってことは能力使ったでしょ。AIMジャマーっぽいのが動いてるのに、ひどい無茶するわね。
 しかもあんな装備を持ってる人間に生身で立ち向かおうとするなんて、無謀にもほどがあるわ」



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