過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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361: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/01/14(金) 13:10:20.37 ID:7cnr1jFTo
走る。走る。走る。

何処へ向かえば良いのか、どうして走っているのか。今は何もかもがはっきりしていて、だから少年はひたすらに走り続ける。
追跡者はまだいない。
しかしすぐに現れることになるだろうと、彼は予想していた。

その時。
どおん、と真横で鼓膜が破れるかと思うほどの爆音が轟いた。
いや、『反射』を使って許容量以上の音を遮断しておかなければ、間違いなく深刻なダメージを負っていただろう。
爆発そのものは最初から反射設定に含んでいることは相手も知っているはずなので、
それではダメージを与えられないと見て音での攻撃に切り替えてきたのだろうが、念のために反射設定を変更しておいて助かった。

続いて今度は目くらましの為にか閃光弾のようなものが至近距離で炸裂したが、これも反射設定に入れていたので何とか凌ぐことができた。
相手は自分の能力についてよく予習してきたようだ。
いずれも、少し前の彼であったなら防げない攻撃だっただろうから。

(にしても、随分と洗練されてやがる。一昨日の連中とは大違いだな。
 俺の能力については勿論として、行動パターンや考え方、果ては性格までよォく把握してるみてェじゃねェか)

そこまで思考して、しかし彼はそれ以上考えるのをやめた。
変な予想を立てたところで、何の意味もない。
それに、対策を立てるにしても限界がある。現に、追跡者たちの攻撃は今のところ一つも彼に通用していなかった。

しかし、追っ手を撒く為にランダムに迂回しながら走っているはずなのに、その先々で待ち伏せしている奴らがいるのが気になった。
まるで彼の心を読んでいるかのようだ。
一瞬読心系か透視系の能力者がいるのかとも思ったが、それにしては準備が良すぎる。
その場で心を読むなり透視するなりした程度では、こんなに早く動けるはずがない。

こっちはその都度気まぐれに逃走ルートを変えているというのに、相手は最初から彼の通る道をすべて把握しているようで気味が悪かった。
樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)だって、ここまで正確な予測はできないんじゃないだろうか。

(まァ、いくら正確に予測をしようが対策を立てようが、関係ねェか)

飛んでくる様々な攻撃をものともせず、一方通行は走り続ける。
この分なら何の問題もなく逃げ切れそうだ、と彼が安堵した瞬間、一際大きな爆発が起こって彼の視界を遮った。
だが、こんな煙幕など彼の前では何の意味もない。
彼はすぐさま風を操り、周囲を覆っていた煙幕を吹き飛ばそうとする。

「そう簡単に逃げ切れると思うなよ、一方通行」

だんだんと晴れてゆく煙幕の向こう側に、背の高い男のシルエットが見えた。
やがて煙幕の向こうから姿を現したその男は、警備員のような装備で身を固めている他の人間たちの中にあって異色な存在だった。
何故なら、その男はこの状況で何故か装備らしい装備を殆ど身に付けていなかったから。

唯一身に付けている装備は、両手にはめた機械でできたグローブのようなもののみ。
他に身に付けているものと言えば、とてもではないが防御力など期待できそうにない白衣などのただの衣服くらいのものだった。
にも関わらず、その男は圧倒的な威圧感と存在感でもって一方通行の前に立ちはだかっている。
正直、理解に苦しむ光景だった。

(……どォいうつもりだ? いったいどンな勝算があって……)



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