過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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[saga sage]
2010/10/24(日) 16:11:18.73 ID:lnwWc/Yo
第七学区。
誰もいない裏路地のマンホールの蓋がひとりでに持ち上がったかと思うと、その中から幽霊のように真っ白な手がぬっと伸びてきた。
まるでホラー映画のワンシーンのような光景だが、続けてそこから顔を出したのは追跡者から逃げ回っていたあの少年だ。
少年は傷だらけの身体を引き摺って何とかマンホールから這い出ると、ぺたんと座り込んで壁に凭れかかる。
血を流しすぎた所為もあるだろうが、体力の消耗が激しかった。
「はっ、はあ、は、はあ……。な、とか、撒いたか……」
荒い息を繰り返しながらも、彼は痛む身体に鞭打って再び立ち上がった。
もしかしたら撒けたと思っているのは自分だけで、追跡者はもうすぐそこまで迫っているかもしれないからだ。すぐに出発しなくては。
すると少年は壁に寄りかかりながらきょろきょろと辺りを見回して、周囲の状況を確認する。
「……ここ、何処だ?」
マンホールを通ってきたので、今自分が何処にいるのかよく分からない。
なんとなく何かから遠ざからなければならないという事は分かるのだが、それが何なのかが分からないのだからどうしようもない。
少年は一瞬途方に暮れかけるが、ふと耳を澄ませてみるとすぐそばに町の喧騒があることが窺い知れた。
どうやらここは大通りから一本裏に入っただけの路地らしい。ちょっと行けばすぐに大通りに出ることができるようだ。
しかし大通りに出て良いものだろうか、と少年は迷った。
確かに大通りに出れば、あの追跡者達もそう簡単に自分に手出しすることはできなくなるだろう。
だがこの血だらけ泥だらけの姿で大通りに出てしまえば、
不審者として通報されて捕まって、最悪あの追跡者達の所へと身柄を引き渡されてしまうことも考えられる。
それだけは何とかして避けたかった。
少年は暫らく考えた後、やはりこのまま路地裏を進むことにした。
やはり大通りに出るのは躊躇われるし、大通りのすぐそばの裏路地なら追跡者達もあまり派手な破壊行為はできないだろうと踏んだからだ。
そうと決めると、少年は再び歩き始めた。
ふと顔を上げてみれば、そう遠くないところに病院が見える。
あそこに行って治療を受けるのが最善だろうが残念ながら少年は無一文で、しかも病院で身元を尋ねられても答えることができない。
そうして最終的には通報されて……という最悪の結末が脳裏を過ぎり、少年は力なく首を振った。
……自分の力だけで、何とかしなければならない。
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