過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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93: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2010/11/09(火) 21:50:06.35 ID:QFVk0n.o
……最近、急にこうした噂を聞くようになった。
当然ながら、美琴にそんな能力はない。如何に超能力者の第三位とはいえ、美琴はただの電撃使い。分身などできようはずもない。
どちらかと言えばどっかの馬鹿な能力者が変な悪戯をしているという可能性のほうが高いがそんな噂も聞かないし、
そもそもそんなことになっていれば事件として処理されることになるだろうから、風紀委員の白井を通じて美琴の耳に入るはずだ。

「その、ごめんなさい。こんな噂気分悪いですよね」

「ううん、私から聞いたことだし。気にしないで」

「それでは、私たちこれから別の棟へ移動しなくてはいけないので……、失礼します」

「うん、頑張ってね」

ぱたぱたと急ぎ足で去っていく女子生徒たちを見送りながらひらひらと手を振ると、美琴は深く溜息をついた。
ああは言ったものの、あの女子生徒が言っていた通り、正直美琴にとっては非常に薄気味の悪い噂だった。
なんと言っても他でもない自分自身の幻影が堂々と街を闊歩しているというのだから、気にならないはずがない。

かつ、こんなにも目撃証言が相次いでいるのに具体的な事件になることもなく、よってその詳細が美琴の耳に入ってくることもない。
美琴本人の与り知らぬところで、美琴に関わるおかしな何かが起こっている。それが、たまらなく気味が悪かった。
ただ美琴には、ひとつだけ思い当たることがある。

(クローン……、ね)

つい先日、上条と一方通行に振られた話題。何処かで超能力者の第三位のクローンが製造されているという噂。
彼らに言われるまでもなく、美琴もこれまでにも何度かクローンの影を感じたことがあった。
けれどそんなことはありえないと一蹴し、大して気にしたこともなかったが、まさか今更になってこんなことが起こるとは。

(ただの噂だと思ってたけど、まさか……。そもそもクローンの製造にはDNAマップが必要だし……)

そこで、ふと美琴は恐ろしいことを思い出してしまう。
DNAマップ。
……私、DNAマップ、提供したこと、なかったっけ……?

(いやいや、あれは筋ジストロフィーの治療の為に提供したんだし。まさかクローン製造の為に流用なんかされてるわけがない)

しかし。無いと、言い切れるか?
あの頃の美琴はとても幼くて、特に深い考えもなくただ筋ジストロフィーに苦しんでいる人々を助けたいと思ってDNAマップを提供した。
だから美琴がDNAマップを提供した研究者が、本当に筋ジストロフィーの研究者だったかどうか分からないのだ。
もしかしたらあの研究者はただの詐欺師で、超能力者の第三位のDNAマップ欲しさに美琴のことを騙したのではないだろうか?

(……待て待て、おかしいってば。あのときの私はまだレベル1だった。当然、超能力者の第三位なんかじゃない。
 そんなただの電撃使いのDNAマップを手に入れるために、そんな用意周到な真似をするか? ありえない、やっぱり勘違いか)

他にも様々な不安要素はあったが、美琴はふるふると頭を振ってそれを振り払った。
そんなこと、あるはずがない。あって良いわけがない。
それに、一方通行だって言っていた。学園都市の自治法でも人体のクローニングは禁止されている。だから、ありえないのだ。


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