過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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932: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2011/05/05(木) 23:46:06.57 ID:W4jEtkTQo

「変わってンな……」

「超面白いですよ? まあ一般人には理解できない感覚かもしれませんが」

絹旗は、何故かやたらと得意げだ。
そこから始まった彼女のB級映画語りを一方通行は暫らく黙って聞いていたが、それが一段落した頃になって彼は躊躇いがちに口を開いた。

「…………、そォいや、よ」

「? なんでしょう?」

「俺が撃たれた時。……オマエ、何て言った?」

「へ?」

質問の意図を図りかねているのか、絹旗はきょとんとした顔をした。
しかし、こんな質問ではそんな顔をして当然だ。
それでも一方通行は暫らく言いにくそうにもたもたとしていたが、やがて意を決したように言葉を続ける。

「俺の名前、呼ンだだろ。あの時、俺をなンて呼ンだ?」

絹旗は一瞬、ぎくりとした。
が、それを一方通行に悟らせるようなへまはしない。
だから彼女はきょとんとした表情を維持したまま、首を傾げて見せた。

「超普通に、鈴科さんと呼びましたが。それが何か?」

「……そォだったか?」

「そうですよ。と言うか、超苗字しか知りませんし」

「………………」

一方通行は目を伏せて黙りこくる。
けれどあの時彼の意識は朦朧としていた筈だし、勘違いだと思わせるのは難しくない、筈だ。

「そう……、か。変なこと訊いて悪かったな」

「いえ、超大丈夫です。ところで私はこのまま帰って超休むことにしますけど、あなたは入院しますか?」

「や、俺も帰る」

「では、帰り際にその旨を超伝えておきます。超お大事に」

「オマエもな」

絹旗は軽く頭を下げると、静かに病室の扉を閉めて帰って行った。
一方通行はゆっくりと遠ざかって行くその足音をじっと聞いていたが、暫らくするとベッドから降りて帰宅の準備を始める。
空が、暗くなりかけていた。





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