過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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99: ◆uQ8UYhhD6A[saga]
2010/11/09(火) 22:05:14.28 ID:QFVk0n.o
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白い病室の中、暖かな日差しに包まれている一方通行は、本を手にしたままうとうととしていた。
その分厚くて重い本が、力の入っていない手のひらから今にも滑り落ちてしまいそうだ。
しかし絶妙なバランスで以てなんとか一方通行の手に収まっていたその本は、不意の衝撃によって呆気なくその手から零れ落ちた。

「やっほーう。元気してる? ……って、あれ?」

「ふ、くァ……、御坂か。珍しく早かったな」

「ごめんごめん、寝てたの邪魔しちゃったわね」

あくびの所為で出てきた涙を拭いながら、一方通行は床に落ちた本に向かって手を伸ばす。
本の様子を確認してみれば、ちょうど背表紙から落ちてくれたお陰で汚れも折り目も付かずに済んだようだ。

「いや、本読みながら居眠りしてただけだ、構わねェよ。
 ちなみに上条なら今日はタイムセールだってンでまだ来てねェぞ。アイツのことだからその内来るとは思うが」

「なっ、何で突然アイツの話が出てくるのよ。何の関係も無いじゃない」

「なンだ。自覚ナシか」

「だから、何の話?」

「いや、分からねェなら別に良い」

「はあ?」

美琴は怪訝そうな顔をしていたが、本能でこれ以上は墓穴だと悟ったのか、しつこく訊いてくることはしなかった。
そんな彼女を横目に見ながら一方通行は本を本棚に仕舞い込むと、ふと思い出したかのように口を開く。

「そォいや、いつもは知り合いの風紀委員と一緒に出歩いてるンじゃなかったのか?」

「ん、何か風紀委員の仕事が忙しいみたいでさ。邪魔するのも悪いし、退散して来たのよ」

「ふゥン。喧嘩でもしたのか?」

「へっ? い、いや、まったくそんなことは無いんだけど。……何か顔に出てる?」

「なンとなく。嫌なことがあったのか? って程度だな」

「そ、そっか。私ってそんなに分かり易いのかしら……。アイツも意外と見抜いて来るのよね。
 まあ、ほんとに大したことじゃないんだけどさ」

そこまで言って、しかし美琴はもごもごと言い淀む。
一方通行はベッドのそばに置かれた椅子を座りやすい位置まで引きずり出すと、美琴に座るように促した。


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