906: ◆jG/A7LPXl9Ny[sage]
2012/03/31(土) 22:03:01.38 ID:wbrKVK+Z0
ご無沙汰しています。
荒巻さんからの返答はまだないのですが、とりあえず原稿の方を書き始めました。
どんな形式がいいか模索中ですが、↓のような感じで書こうかと思っています。
故郷破れて大海在り、島泡となり影も無し――
ザザーン……ザザーン……
寄せては返す波を、少女はぼうっと眺めていた。ぼさぼさに荒れた金色の髪、朧気に揺れる碧の瞳、あちこち破れたボロ衣を纏い、身体は痩せこけていた。
全世界を巻き込んだ長きに渡る戦争は、人々の行き場を奪った。この少女も、その被害者の一人であり、先の大戦で家族や友人を失い、幼くして天涯孤独となってしまったのだった。故に、少女は生きる為に自分で金を稼がねばならなかった。
技術も体力もない少女に、まともな働き口などはなく、靴を磨くことで糧を得ていた。だが、町中に溢れかえった難民を問題視した領主は、許可無く街商行為を行うものを罰するよう命令を下した。
『……これからどうしよう』
唯一の収入源を失った少女は、ぼうっと海を眺めていた。
いっそ、このまま海に身を投げたら楽になるのだろうか……
考えないようにしていた言葉が、少女の脳裏に過る。まともな職に就けるあても無く、露天商などしようものなら、兵士に捕まり厳罰が科せられる。そう思うと、心を支えている最後の何かが折れてしまいそうで……
『……? あれは……人?』
波打ち際に、人間が打ち上げられていた。戦時中は日常茶飯事だったが、終戦から一年経った今ではあまり見なくなった光景だ。
『あの人も、身投げしたのかな……』
『――ゲホッ』
『! 生きてる!』
打ち上げられていた男が、身体を痙攣させながら水を吐き出す。よく見ればこの男、黒髪黒眼で見慣れない服を着ている。おそらく、航海中に船が難破し、ここへ流れ着いた異国人だろう。
――助ける? でも、どうやって?
もし仮に、一命を取り留めたとして、その後介抱するには、少女は余りに貧しい。下手に情けをかければ共倒れになる。少女には、他人の心配をする余裕など、微塵もなかった。
『…………でも、見捨てるなんて、出来ないよね』
理屈は分かる。自分は他人を守れる程強くない。だが、心を支える最後の何かが、少女に諦めるなと囁きかける。
ボロボロになった服の胸元をぎゅっと握ると、少女は男のもとへと駆け寄ったのだった。
1スレ目の1レス目はこんな感じになるかと。
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