279:投げんな匙 ◆t4xyS9bQ1M[saga]
2011/01/28(金) 04:14:15.69 ID:scyQj+zN0
(こんな事になるんだったら…仕事なんて引き受けなければ…!仕事なんて辞…)
一瞬佐天の脳裏に浮かびかけた“辞めようかな”という言葉。
しかし、佐天は思い出す。完全に無能力時代で能力者や学園都市の治安や武勇伝を聞いている時の一歩冷めた感覚の自分を。
(何もない…自分なんて…やっぱり…いやだよ…!)
自分に被害がこないなら、と思い始めた電話の女という仕事。
物的被害は確かにないが、何だ、この尖ったカッターにえぐられるような気持ちは。血を吐いてしまいそうな衝動になられる。
佐天は友人を傷つける可能性があることと自分が無能力で何もないという劣等感を天秤にかけた。
その結果は…………後者に軍配があがった。
(ははは…だって…御坂さん…レベル5だよ?麦野さんもレベル5でしょ?死なないよ…!)
佐天は寮のベッドの壁に背中をぺたっとくっつけ、勝手な推論をめぐらす。
どうなるかなんてわからない。
(次にあった時は御坂さんの前で…普通に笑えるかな…?でも…)
人材派遣の男がかつて佐天に言っていた“学園都市の最奥”。
今ではそれは理非善悪等の価値観が全て一緒くたになったカオスをほうふつさせる。
仕事の終了報告が入ってくるまでまだ少しの時間があった。
彼女は同じ押し問答を繰り返し、美琴とわかった訳じゃないと、一人納得させ、また質問…の悪循環を繰り返すことになるのであった。
その循環に彼女が仕事を辞めるという選択肢はついに浮かんでこなかった。
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