430:投げんな匙 ◆ZBFBxXwTUM[saga]
2011/02/08(火) 23:37:10.52 ID:4/Yp8CWbo
佐天は壇上から不意に掛かった声に大声で答える愚行を演じることだけはなんとか避ける事に成功する。
無言で何度かうんうん頷くと彼女は司会の女性とおぼしき人物の言われるがままに座席に座った。
佐天はなんとか講演が始まるぎりぎり前に着席する事が出来たようだった。
『本日は皆様お集まり頂き有り難うございます。テレスティーナです』
佐天は自分の周りと壇上をきょろきょろと見回す。
女の発言が正しいなら、自分以外に誰かいても良いはずだ。
テレスティーナとかいう女と二人きりな訳がない。
佐天の疑問がテレスティーナに伝わったのだろうか。
このテレスティーナはホールの奇妙な状況を解説する。
『実は光学プロジェクターであなた方と私以外の姿が見えないように細工しております。どうかご了承下さい』
金髪の女は壇上で恭しく頭をぺこりと下げる。
ぎりぎりでホールに来た身分の佐天だったが、余りに丁寧なその動作になんとなしに嫌な感覚を覚える。
定型句の様な挨拶を述べると話しの本題に移行していく。
内容は学園都市の治安維持についてだった。
(治安維持機関の連絡で来てみれば、何か難しい話しだなぁ…初春のスカートめくりでもしてれば良かった)
電話をかける仕事を始めて三週間ほどたった今。
佐天は徐々に仕事の要領を心得ていた。
佐天は壇上に居る女の話にはあまり興味が湧かず、ただぺらぺらと話している女をぼんやりと見つめていた。
イヤに空調が効いたホールで彼女はいやいやながら、肘掛けに肘を当てて、自分の顔を支えながら退屈そうにテレスティーナの話しを聞く。
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