47:投げんな匙 ◆t4xyS9bQ1M[saga]
2011/01/19(水) 02:45:04.07 ID:Hnml+c0n0
「へ、平気ですよ…」
「はは、恐がらない、恐がらない。取って食っちまおうってわけじゃないからさ!」
佐天に話しかけている男は優男といった感じで、大学生くらいの男だった。
案外に優しく見える。組織だの電話だの、能力だのと言ったこととは無縁そうに見えるただの学生然とした風貌だ。
けれど、この街の学生は皆そういう風に見えて、実はとんでもない能力を持ち合わせているからわからない。
取り敢えず、佐天から見た男の第一印象は概ね良かった。集合時間に遅れることもなかったし、見るからにおかしいヤツじゃなかったから。
(ま…まぁ、普通の人ね…)
(このひとが 私にさっき電話した人…だよね?)
そんなことを考えながら佐天は目の前にいる好青年に緊張しつつも話しかける。
「あ、あの…さっきの電話の詳しいお話なんですけど…」
「そうだね、その話しをしに来たんだった、ってか立川から町田までわざわざ申し訳ないね!今日は町田で一仕事あったんで!」
「あ、良いですよ、気にしてないんで!」
「そう、ありがとね、じゃ、立ち話もあれだし…こっちにきてくれ」
男はそういうとオブジェの近くの階段から下の道路の方に降りるように佐天に指示した。
佐天はその男から少し距離を置いてついていく。するとそこには大型のキャブワゴン「VELLFIRE」がハザードをたきながら止まっていた。
「さ、どうぞ」
男は黒のブルガリのキーケースをポケットから取り出すと、トヨタのロゴが彫られているキーのボタンを押す。
キュッキュッとアザラシの鳴き声のような音が小さく響くと後部座席のドアがゆっくりと開いた。
1002Res/828.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。