675:投げんな匙 ◆ZBFBxXwTUM[saga]
2011/03/07(月) 04:20:11.80 ID:bmKUI2Yro
――数多達の乗るムラーノ
「クッソ!」
数多が悪態をつきつつ、がぁん!とダッシュボードを殴る。
その動作を見た運転手は直ぐさま車の向きを転換し、追撃しようとする。
「無駄だ…あのハーレーじゃもう追いつけねぇ…さっさとオフィスに戻って車載カメラの解析だ」
「はっ!……了解しました」
数多は開けた窓越しに遠ざかっていくハーレーの音を聞いた。
彼にとっては忌々しい音となって記録された。
「にしても…あいつ、女か」
(男かと思ったわ)
木原はつい先ほど、フルフェイスのヘルメットを取り、こちらに微笑みかけた金髪ブロンドの女を思い浮かべる。
あれが昨日ケイト達の報告にあった姉か?砂皿とコンビを組んでいる傭兵だろうか?
ヘルメットを外した直後、数多はトリガーを引く事を一瞬。ほんの一瞬だが躊躇(ためら)った。
何故ならライダーが女だったから。
猟犬部隊の隊員の追撃を振り切り、怪我こそすれどそれを振り切った正体が実は女だった。
そんな偏見にも似た彼の感情。それはムラーノを運転していた男にしても同じだったのかもしれない。
運転手も一瞬、ハーレーの運転手に微笑まれ、つい、進行方向を惑わすフェイクに引っかかってしまったのだった。
「す、すいません…木原さん…自分があの女のフェイントに引っかからなければ…」
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