863:投げんな匙 ◆ZBFBxXwTUM[saga]
2011/03/21(月) 04:15:09.71 ID:HhUvIBkbo
救急車の側壁を数多は思いっきりたたく。
逃げられたのだ。学園都市外からやってきた得体の知れない傭兵に。しかも失神させられて。
「で、砂皿の野郎は今どこにいる?」
その質問に隊員は「…目下、全力で捜査中です……」と下を向いて答えた。
「要するに…行方をくらまされたって事か…」
「はい、申し訳ございません!!!」
がばっと謝罪する隊員の姿を見ること無く、数多は救急車の外を見る。
車輌は砂皿と戦った地下駐車場の外に出た所に駐車しており、移動はしていない。
数多は考えた。
恐らく、砂皿はあの金髪ブロンドのステファニーとか言う女と合流した。
いや、もしかしたら既にステファニーの妹のフレンダと合流している可能性も有り得る。
(希望的観測はするな…最悪の状況を考えて行動しろ…)
自分が倒れていた事を心底呪いたくなる反面、彼は次の対応策を考える。
ほぼ後手後手に回っている対応で苛立ちはピークに達していたが、ここで発狂すれば元も子もない。
全ては冷静に。いかにクールになれるか、こうした状況で最も元も得られるのは焦りと興奮ではなく、慎重さと冷静さだ。
そう自分に言い聞かせた数多はまず、ポケットに入っている携帯を取り出す。
(ったく、あの素人童貞の出番だな……)
携帯のフォルダから呼び出された名前は一方通行。
学園都市の無能力者に敗北し、その事で絶対能力進化計画は頓挫。
しかし、一方通行は未だその利用価値を学園都市に見いだされ、この街の闇に依然滞留している。
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