956:投げんな匙 ◆ZBFBxXwTUM[saga]
2011/03/28(月) 22:00:20.62 ID:qK/F6skHo
佐天の言うことに美琴は反論出来なかった。
いくら美琴が佐天の事を考えると言っても結局はそこまでなのだ。一緒に考える。それは確かに嬉しい。自分の境遇を理解してくれる理解者が居たら嬉しい。
「でも、御坂さん?私は御坂さんの言う計画に加担してたんじゃないんですか?それは御坂さんにとって思い出したくない、嫌な事。そんな事に加担した私の事を考える事が出来ますか?」
言いよどむ美琴を前にして佐天はしゃべり続ける。
「私は御坂さんの事をちゃんと考えた事はありません。いつも能力が使える凄い人っていうフィルタを通してみてました。
もうレベル5の御坂さんと私じゃ、境遇が違いすぎますよ…」
「でも、一緒に考える事は出来る。自分が周りの環境に呑み込まれるんじゃなくて、自分を貫き通す意志があれば、佐天さんも決してこの街の闇には屈しない!私はそう信じてる」
「貫き通す意志……ですか。それこそがパーソナルリアリティ(自分だけの現実)の強さってヤツなのかもしれませんね…」
ため息混じりに佐天はそう言うと立ちあがってカーテンを開けた。
唐突にパーソナルリアリティの話しを振られた美琴はきょとんとした表情だ。
残暑も終わり、徐々に肌寒くなっていく西東京、学園都市の朝の光を浴びて佐天はつぶやく。
「自分を貫き通す事って難しいんだよなぁ…人を助けたと思っても、それで他の人の人生を台無しにしてるんだから…」
「……」
しばらくの沈黙の後、美琴は「また今度連絡する……」とつぶやき、寮を出ていった。
1002Res/828.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。