過去ログ - お題を安価で受けてSSスレ
1- 20
28:たけし君と僕。(2/3)[sage]
2011/01/21(金) 23:08:37.80 ID:sfhia2bno
「……あのころは若かったなあ」

 机の引き出しから出てきたものを見つめ、僕は一人ごちた。
 あれは、思い出すだけで顔が赤くなる、だけど何よりも大事な思い出だ。
 ケンカなんてしたこともない僕が、初めて他人を殴った日。

「おい、片付けもしないで何を見てるんだ……って、ヨーヨー?」
「ああ、思い出の品ってやつだよ。分かる?」

 質問に質問で返す、僕は少し意地悪だったかもしれない。
 だけど。

「懐かしいな。これって確か、お前と初めてケンカしたときのヨーヨーだろ?
 今までずっと持ってたなんて物持ちいいな、お前」

 あっさりと答えられて、びっくりした。
 僕にとっては思い出の品でも、この人にとっては大した物じゃない。
 そう思ってた。

「なんで憶えてるの?」
「なんでって聞かれてもな……そう言うってことは、お前だって憶えてたんだろ?」
「そりゃまあね、初めて君を――その、叩いた日だし」

 ちょっと口籠もったのは、もう少し柔らかい表現をしたかったからだけど。
 あいにくと僕のボキャブラリーじゃ難しかったので、仕方なく無愛想に答える。

「だからだよ」

 でも、そんな僕よりぶっきらぼうに答える彼は、困ったような顔で。

「お前と初めてケンカした日のことだから、憶えてるんだよ。ずっと」

 とても、恥ずかしいことをのたまった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/755.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice