過去ログ - お題を安価で受けてSSスレ
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879:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]
2011/12/22(木) 00:11:35.05 ID:y8HQDPbDO
>>870


 部屋の隣から、何かを落としたかのような激しい物音がした。また何かドジでも踏んだのだろうと、眉を少し潜めただけで気にせず本に目を通す。地球というシンプルな表題を付けられたこの本は、写真を中心に形成されている。まだ見ぬ郷土に夢を馳せるのが、ここ最近の日課であった。
 (トウキョウ……ニューヨーク、コンビニエンストア)
 写真を指で触れながら、知らず知らずに溜め息を吐いていることに気が付く。本当に地球をこの目で見ることは出来るのか。こうして夢を馳せることが無駄になって終わってしまうのではないか。死んだ母は言った。「あなたの代で地球には着くはずだから」。しかしその母も――私にとっての――祖母に聞いたものであるという。私は瞼を閉じると、改めて深い溜め息を吐いた。
 そのとき、勢いよく扉が開いた。
 「オイ!」
 「え、何よどうしたの?」
 ズカズカと大股で歩いてくる男に目を丸くする。男は困惑したような、笑みを無理矢理抑えつけているような表情で、女の持っている本に手を伸ばす。何をする気かと呆気に取られていると、あっというまに本をひったくられた。男は何処かのページを探すように捲り始めた。が、すぐに困ったように眉尻を下げて
 「……なぁ。地球の写真ってどこにあるんだ?」
 「は? 何よいきなり本を奪っておいて……貸して」
 「悪い」
 内表紙を開く。
 「これよ、これ」
 で、それがどうしたの――と聞こうと口を開く。しかしそれが言葉になることはなかった。男は女の手を取ると、そのまま駆け出した。
 「ちょっと!?」
 女は転けそうになりつつも、男に呼びかけるも男の返事はない。開いたままの扉を潜り抜け、広間に入る。ドクリ、と心臓が高まった。床には片付け途中だったのであろう本が散らばっていて――。男は女を振り返った。心臓が早鐘のように鳴り響く。
 「――窓を見てみろよ」
 顔をあげると、そこには――。
 




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