933:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/10(木) 14:32:17.10 ID:wnylMJ4Jo
>>105
昇降口から出ると、重たい空が待っていた。
女子学生は振り仰ぎ、傘を持ってこなかった事を思い出した。
家に着くまでには間違いなく降りだすだろうな、と憂鬱に予想する。
小さく自嘲の笑みを浮かべた。最近ついてないことばかりだ、と。
特にこの間のピアノコンクールは上手くなかった。
いつものように指が動かない、と焦り、その焦りがまた別の焦りを生み。
一番になれる力はあったのに。そう言って悲しく笑う母の顔を思い出した。
鼻先に冷たいものが跳ねた。
雨粒が地面を静かに叩く音が次第に聞こえ始め、大きくなる。
「どうしよう」
これからどうしよう。
続けることに意味はあるか。折れた自信を抱えたまま、自分はまだ進めるか? 自問する。
しばらく無言で考えて。
彼女は雨の中に飛びだした。
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