過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 21:52:22.50 ID:IClwZiHj0
「真心。彼の言うとおりだよ。ぼくも聞いておきたい。小唄さん。貴女は……貴女みたいな方がなぜ『ならないようになる災厄(ナッシングイズグッドイナフ)』を欲しがるのか。その力を何に利用しようとしているのか。
望めばなんだって盗めるでしょう。それが大泥棒であると以前にぼくは貴女本人から聞きました」

nothing is good enough.(思い通りになどなりはしない)

「それがなぜです?」

眼を細めて、蟲惑的に大泥棒は微笑んだ。それは、「ハートを盗む」事すら容易に行えそうなうっすらとしていながらも力強い笑みだった。

「勘違いをしていますわね、お友達」

石丸小唄は言う。

「私は何も欲してはいません。ええ、お友達の言うとおりですわ。欲しいものが有れば盗み出せば良いのです。掠め取る事こそが大泥棒の誇りであり生業です。しかし、卑しい職業であるからこそ大泥棒には職務とも言うべきものが存在しています」

ドロボウのお仕事。

「身に余る力に振り回されている少女が居れば、その少女から力を掠め取り普通の女の子へと戻してあげる」

石丸小唄はまるで歌うように、それが当然と言い放つ。

「これはみんな、ドロボウの仕事ですわ、お友達」

どうかこのドロボウめに盗まれてやって下さい。そんな台詞を俺が思い出すのに三秒とかからなかった。そして――そして。その台詞が使われた映画の主役である泥棒は誰が見ても正義の味方であった事をともに思い出すのも忘れずに。
もしかして、俺が悪役なんじゃないのかと。その疑念が寄せては返す波のようにぶり返す。

「ですので、私はいかに真心相手とは言え退く訳には参りません。私が私である為に。石丸小唄が大泥棒である為に」


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