過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 22:30:06.77 ID:IClwZiHj0
知らず、俺の足は前に出ていた。本来ならば止めるであろう古泉は地に伏して。朝比奈さんは眠り姫だ。誰に阻まれる事も無く、俺はオレンジの髪をした人類最終、想影真心の横を素通りする。

「待つんだ」

「待たない」

戯言遣いの引き止めを一蹴して、前に出る。十三銃士、第五席。大泥棒と相対する。二人の間には、夜の闇以外、何も無い。
ハンチング帽の彼女がその気になれば、きっと俺の命くらい簡単に盗んでしまえるんだろう。それでもいい。いや、良くないが。だが、命云々言うよりも大切な事ってのは確かに存在するんじゃないだろうかと俺は考える訳で。

「教えてくれ、大泥棒」

命より重いものは無い、と言ったのはどっかの宇宙飛行士だったか。でも、それは違う。綺麗事で、戯言だ。
命よりも重いものを探すために、俺たちは産まれてきたんだろう。

「アンタは、正義か?」

「正義。正義ですか。何を言い出すかと思えば。『鍵』。そんな甘っちょろい言葉は子供しか使いませんわ」

正義はどこに有る? 正義はどこにも無い?

「私は私のエゴに従い盗みを行う。そもそも質問する相手を間違えているでしょう。泥棒に正義などと。縁遠いにも程が有ると言うものです」

「だけど、それにしたってアンタはそれが正しいと思ってるから泥棒するんだろ? なあ、俺にはアンタが不正を好んでやるようにはどうも見えないんだよ。話せば分かる、って思ってる訳でもない。だけど、自分にとってすら正しくないと思っている事をやらなきゃならない、そういう立場には俺には思えない」

それは俺が目の前の美人にワルサーP38を愛用するあの三代目を重ねちまってるからそう思い込んじまってるだけなのかも知んないけど。

「だから、聞くんだ。アイツの力を知りながらその傍に居て不思議を享受していた俺は」

一人でそっぽを向いてそんなのに興味は無い風を装って、その実しっかりと楽しんでいたこの俺は。

「取り返しのつかないくらいに『最悪』だったりするのかい?」


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