49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/20(木) 00:23:00.17 ID:l1nLUIO70
「……分かったら下がりなさい、私の敵。貴方を見ていると歯痒くて歯牙に掛けるのすら躊躇いますわ」
言われるまでもない。なんっつーか毒気を抜かれちまった感じだ。いや、盗まれたんだろうな。すり足で後ろに下がりながら俺は言う。
「ああ。ならアンタ相手に歯が立ちそうなヤツとタッチ交代だ」
引き下がるっつーか、逃げ帰るっつーか。そういう情けない単語が頭の上を回っている、そんな俺であっても隣合った戯言遣いは「お疲れさま」と声を掛けた。
「そもそも、ぼくたちの出る幕じゃあないさ」
「……そうかい」
「待たせたね、真心。準備は良いかい?」
「は! 誰に向けて言ってやがるよ、いーちゃん。待たされまくって俺様、ゲージ百パー溜まってるぜ?」
指を鳴らしながら真打登場。橙の髪を煌びやかに振り乱しながら戦場へと躍り出る想影真心はどこか芸術作品みたいな、完成された美をその立ち居振る舞いに滲ませていた。
なるほど、人類最終かい。そりゃ完成していて当然だ。
「そんなら戦(ヤ)ろうぜ、小唄。俺様、最初っから超必ぶっ放してくからそのつもりでやれよ? 開始三秒で終わってたら文字通り話になんねーかんな! げらげらげらげら!」
「……ふう、全く迷惑な子供ですわ。どこで育て方を間違えたのでしょう? 十全ではありません」
そうは言いながらも、その頬に薄く浮かんだのは笑み。そうだよな。迷惑ってのは自分から背負い込んでいくもんだ。
好きで飛び込んでいくモンなんだ。
俺がそんな事を納得して頷くよりも早く、戦闘は始まった。
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