598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)[saga]
2011/03/15(火) 22:30:26.47 ID:itzVSEe30
「だーかーらー。そんな目に見えて落ち込むなって。なんだかアタシが悪い人みてえじゃねえか。悪い事してるみてえじゃねえか」
ハイウェイを走る車内。逃げ場などはどこにも無い。たとえ俺が暴力に訴えた所でこの人は左手一本で気絶させてしまえる。それだけの力を持っている。何から何まで用意周到だ。
「悪人とは言いませんよ。約束をしたのも俺自身ですし。でも、言わせて下さい。この人でなしが!」
「はっ! 吠えるじゃねえか。アタシが人でなし? だったらお前はロクデナシだな! 命を懸けた約束さえろくすっぽ守れねえんだからよお」
……そうなんだよな……長門と朝倉を助けて貰ったのは事実だし、俺自身もこの人のお陰で九死に一生を得ている、言わば命の恩人なんだよな……ダメだ。完全無欠に正論だ。
「ですが……それにしたって人殺しのプロ相手に俺なんかに何が出来るって言うんですか、潤さん?」
ヘタレと言うなかれ。幼稚園児に「では百メートルを九秒台で走って下さい」ってな感じの無理難題なのだから。
「……それが知りたいんだよな、アタシは」
哀川潤は言う。
「匂宮五人衆……殺し名の中でもハイエンドクラスのプレーヤを相手に時間を稼ぎ、このアタシでさえ引き分ける事しか出来なかった結晶皇帝に負けを認めさせて、でもってあのクソ親父の野望を止めた……それが果たしてただの一般人の成せる業なのか。
いーたんの時も思ったんだけどさ。無力ってのは、力ってのはアタシみたいに目に見えるものだけじゃねえんだよ。だが、アタシにはそれが無い。だってのにアタシは人類最強だ。矛盾するだろ?」
「……それを見極めないと本当の意味での人類最強にはなれない、って事ですか?」
「見極めは済んでんだ。弱いは強い……んだとよ。いーたんが言ってた。アタシみたいにぶっちぎりなヤツにはもう取り返しが付かない類の強さだろ。だから、アタシは手に入れる事にした」
哀川潤は、人類最強は前を向いて言う。
「弱い弱い、もう涙が枯れ果てるほど弱過ぎる相棒を。で、そんな事を決意した頃に丁度良くお前らの事件が起こったんだよ」
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