過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/20(木) 22:38:21.89 ID:l1nLUIO70
驚いて後ろを見る。俺たちがさっきまで通ってきた路地は路地ってだけにほぼ一本道なんだが、それがまるで落盤事故でも有ったかのように塞がっていた。退路を絶たれた、って訳かよ。

「俺たちの目的は分かって貰えたかな? 用が有るのはそこの戯言遣いだけだから、別に『鍵』とその友人は見逃してもいい。勿論、別に見逃さなくても俺たちは何も困らない。巻き込んで殺してしまっても、いい」

兎吊木はそんな事を言う。俺や古泉の同行なんざ問題にすらしていないのは、それだけコイツらが強いって事なんだろう。
人間は人間に、その生き死ににここまで無関心でいられる、らしい。俺にはどうあっても辿り着けない境地ではあるし、そんな心持ちにはどうあってもなりたくは無いけれど。そして、それを強いとは呼びたくないってのに。
だが、目前の白スーツと黒スーツは俺にだって分かるくらい、強い。それを強さと呼ばずして何と呼べば良いのか。
きっとコイツらは俺や古泉が本当に巻き込まれて死んだところで眉一つ動かすだけなんだろう。「おや」とか一言口にして、それで終わりなんだろう。
そんなのは……そんなのは最早、人間なんて呼べやしない。
強くても、いくら強くてもそれは人でなしの強さだ。

「兎吊木。ぼくさえここに残れば彼らには手を出さないんだな、アンタは」

「まるで交換条件のように言うが、戯言だな。俺も式岸もそんな約束をする義理はない。心配しなくとも戯言遣い、君は逃がさない。俺たちがそこの子供たちを逃がすかどうかは、俺たちで決める」

……これじゃあ、まるでじゃなく人質だな。人質そのものだ。いーさんに俺たちを守る義理は無いのかも知れないが、それでも俺たちが死んじまったらハルヒが世界を終わらせるであろう事を考えれば、世界を守ろうとするいーさん的には俺たちを守らなければならんのだろう。
……どうする? どうすればいい?
なるようにならないとボヤくのは、何もしていない人だけ。
なせば、なる。
だったら俺に何が出来る? 俺に出来る事は――ああ、有るじゃねえか。
それに気付いたら、行動するしか、ねえよなあ。


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